TRIAL LESSON レッスンを体験しませんか
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音楽と恋人

 

前回からのつづき

 

例えば異性なら、背の高いイケメンとディナーしたい。

モデルさんのような美人と街を歩きたい。

そうして、周囲から羨望の目で見られたい。

そうして、自分の虚栄心を満たしたい。

もしくは、恋に恋した状態を楽しみたい。

 

そういう人付き合いじゃなく、ちゃんとその人に惹かれていたなら、もっと相手のことを知りたくなりますよね。

自分にも関心を持ってもらいたくなり、節点を増やして距離を縮めたいですよね。

 

もちろんきっかけは、イケメンだからでも、美人だからでも、それはけっこうだと思います。

でも、それだけではその関係は長くは続かないのではないでしょうか。

やはり、内面を知って、心が触れ合うような関係にならなくては。

 

音楽も同じだと思います。

 

テレビやコンサートで、アーティストやミュージシャンのカッコイイ歌や演奏を聴いて、「自分があんな演奏をしたら、周りの人はみんなびっくりするだろうな」と想像して、よし!と始めてみる。

それは素晴らしいきっかけだと思います。

 

そこから、音楽との距離を縮めていけると、「あぁ、この人にはこんな素敵な一面があったんだ」とか「この人のこういう部分に、自分は惹かれたんだろうな」とか、音楽に対してそんなふうに思えるかもしれません。

 

では、どうしたら音楽との距離を縮めて仲良くなっていけるのでしょうか。

 

つづく

音楽は奏でられたがっており、楽器は奏でたがっている

 

前回のつづき

 

ギターを弾こうとしたとき、多くの人は「よーし、今からこの弦を弾いてやるぞ!」と意気込んでバーンとやってしまうけれど、彼は、ピックが弦に触れた状態で、ずーっと30秒でも10分でも待つのだそうです。

弦を「はじく」のではなく、意気込みが完全になくなって、自然にピックが弦を「すり抜ける」まで。

 

私のこの文章で上手く伝えられているか自信がないですが、要は「楽器を制圧してやろうと意気込むのではなく、自分と楽器とが50/50の関係になって協調して音楽を奏でれば良い」といった旨だったと思います。

 

それを見て、この若さですごい境地まで達しているなー、と感心すると同時に、スッと腑に落ちたというか妙に納得させられたのを覚えています。

YouTubeで見つかると思うので、よかったら探してみてください。)

 

なかなか言うことを聞かない道具をどうにかコントロールするという意識は、ともすれば自ら楽器との距離を遠ざけてしまうことになるのかもしれません。

 

また、これはどこのどなたの言葉か失念しましたが、「世の中のありとあらゆる音楽は常に奏でられたがっており、楽器は常に奏でたがっている」といった話を聞いたときも、素敵だなぁ、そうかもしれないな、と思いました。

 

音楽や楽器をあまり難しいものだと考えずに、好きで始めるのでしょうから、より関心を持っていくと向こうからも近づいて来てくれるかもしれません。

 

そう考えると、人と人との関係にも近いようなところがありますね。

 

つづく

音楽と仲良くなる

 

前回からのつづき

 

前回、0100だという数字を「上手さ=テクニック」だと考えないようにと書きましたが、では、何と考えると良いでしょうか。

 

それは、どれだけ音楽と仲良くなれたかという度合いだと思ってください。

もちろん、そんなものは数値化できませんので、数字はメタファーであってここでは意味を持ちません。

 

01にして、12にして、23にして……。つまり、徐々に音楽を理解して距離を縮めて仲良くなっていく。そうしていくことに楽しみがあるのではないか、というお話です。

 

「音楽と仲良くなること」と「音楽を楽しむための力」。

ずいぶん遠回りをしましたが、なんだか、だいぶ近い話になってきました。

(このコラム、書き溜めせずに毎回場当たりで書いているので、話をうまく繋げるのが大変です。がんばります。)

 

そうです。「音楽と仲良くなること」が「音楽を楽しむための力」をつけることになるのです。

 

今、パッと思い出したことがあります。

これは音楽という広義なものではなく、楽器のコントロールにフォーカスしたお話ですが、Julian Lageというギタリストがワークショップで言っていたことが興味深かったので、ちょっとご紹介します。

Julianは、素晴らしいイメージとフィーリング、ニュアンスとダイナミクスで演奏する、新世代のプレイヤーですが、その彼がギターの弦を弾くことについてこんな話をしていました。

 

つづく

 

写真はまた、まったく関係なくてすみません。

どこのどなたの作かわかりませんが、笑いを通り越して感心しましたので。

(AliExpressという通販サイトから拝借しました)

「未来」は「今」の積み重ね

 

前回からのつづき

 

はっきり言って、この考え方をシフトしていかないと、所謂「挫折」する可能性は非常に高いと思います。

 

物事には往々にして段階があります。0100かではないのです。初心者のうちは自分が0で、出来ている人がみんな100に見えるかもしれませんが、そんなことはありません。

もちろん、辛抱強くがんばっていると、ある日突然、0から100になるわけでもありません。

(そして、この0100だという数字を「上手さ=テクニック」だと考えていると、また周囲の人の目が気になってきたりとロクなことがありません。)

 

繰り返しになりますが、音楽は、初心者のうちからどの段階でも楽しめるものなのです。

勘違いしないでくださいね!上手な人だけが楽しむものではないのですよ!ですよますよ!いくよくるよ!

 

はい。で、話をもとに戻しますと、「達成感」を求めずに11歩の歩みを楽しみましょうということですね。

 

どうですか?

「そんなまどろっこしいことやってられるか!」とか思っちゃいましたか?

そんなあなたは、羽生結弦選手の4回転ジャンプを見て、真似して「エイッ」てやって骨折です。

いや、しませんよね、真似。

スケート靴履いてリンクに立つところからですよね。

それで、ちょっとスーーッと前に進めたら、それだけでも楽しいじゃないですか。

どうですか?

 

「未来」は「今」の積み重ねです。今を楽しめないのなら、この先だって楽しくはならないと、私は思います。

 

つづく

今を楽しむ

 

前回からのつづき

 

さらに、音楽を始めるにあたって、最初からそれをひっくり返して達成感を求めようとすると「音楽を楽しむための力」を養うのが難しくなってしまうと、私は考えています。

 

決まった日程にライブで曲を披露して達成感を得ることが第一の目標であるとすれば、ほとんどの人は最短ルートで目標に向かいたがります。すると、その最短ルートを辿っている最中は(道程を)、楽しむことが度外視されてしまいます。

 

「音楽を楽しむための力をつける」ことをコンセプトとするfestina-lente music school

festina-lenteとはラテン語で「ゆっくり急げ」の意で、転じて「急がば回れ」です。

一見、回り道と思えるような道程にも、たくさん楽しみが転がっています。

 

また、音楽は、ある一定のレベルに達したら、そこで初めて楽しくなるものではなく、その段階ごとの楽しさがあるものです。

ぜひそこに目を向けていただきたいと思っています。足元の蟻や石ころや小さな花に関心を持つように。

 

あなたから見て「あんなふうに上手に演奏できたら楽しいだろうな」と思うような人も、長く長く続く道の途中であって、きっと、その人は、もっとずっと技術が拙かった頃から、今も、そしてこの先も、その道のりを楽しんでいることと思います。(立場に付随する責任等は別にして)

 

今を楽しみましょう。

 

音楽を始めようとしている、もしくは始めたばかりの方は、得てして「出来る人=楽しめる人」と「出来ない人=楽しめない人」といった二極分化に自分を当てはめ、「出来ている人は楽しそうだな」「あぁ、私は出来ないから楽しくもないんだ」「いつになったら出来るようになり、楽しくなるのだろうか」などと考えがちです。

 

つづく