【レコーディング】ピッチ補正①

 

今回は「ピッチ補正」について書いてみます。

 

 

レコーディングや、いわゆる宅録(自宅録音)のご経験がない方には、もしかしたら聞きなじみのない言葉かもしれませんね。

 

ピッチ補正というのは、録音された歌や楽器の音程を専用のソフト(アプリ)を使って補正することを言います。

 

今やプロからアマチュアまで多くの録音作品で、当たり前のようにこのピッチ補正が施されています。

ご存知ない方は意外に思うかもしれませんが、一般的に歌唱力が高いと言われている歌手の録音でもほとんどはピッチ補正が施されています。

 

 

その理由や、ピッチ補正をすることの是非は後述するとして、まずはピッチ補正の簡単な歴史、そしてピッチ補正ソフトとはどんなものなのかを紐解いてみましょう。

 

 

本来、ピッチ(Pitch)とは正確には音程を意味する言葉ではなく、正確な音の高さにチューンすることを言います。ちなみに音程は、ある音とある音の音高の差のことで、英語ではインターバル(Interval)と言います。

ところが日本では、ピッチ=音程として用いられていることもまるで珍しくありません。

でも、この違いをしっかり認識しておくことで、音楽表現の幅は大きく変わってくる、というのは個人的な考えです。

これについてもまたあらためて書いてみたいと思っています。

 

 

さて、今ではソフト(アプリ)を使って誰でも簡単に行うことができるピッチ補正ですが、これは具体的に言うと「スピード(長さ)を変えずに音高を上げたり下げたりできる」ということです。

 

これでピンときた人はアナログ世代かもしれません。w

 

アナログのメディアで音高を上げ下げしようと思ったらどうすればいいか。

 

そうです。

再生のスピードを速くしたり遅くしたりすればいいのです。

逆に言えば、再生スピードを変えると一緒に音高も変化してしまうのがアナログの録音物です。

レコードとかカセットテープとか。

 

前述したようにピッチ補正には、スピード(長さ)を変えずに音高だけを変化させる必要がありますよね。

だから音楽のレコーディングがアナログでしかなかった時代には、ピッチ補正は夢のような技術でした。

アナログでできたことと言えばテープのつぎはぎくらいでした。(それだけでもかなりいろんなことができたし、いろんなことが試されましたが。)

 

 

それが80年代以降のデジタル化によって少しづつ変わってきます。

 

 

まずサンプラーの登場があります。

 

サンプラーは外部からの音をデジタル化して取り込み、それを音素材として記憶・再生させる機材です。

Ensoniq、E-MU、AKAIといったメーカーからたくさんの製品が発売されました。

 

一般化された頃の多くのサンプラーには、録音された音素材の音高を変化させる機能と、音素材の再生時間を伸ばしたり縮めたりする機能がありました。

サンプラーも、ただ音高を上下させるだけだとスピード(長さ)も一緒に変化してしまうのですが、

2つの機能を組み合わせることで、スピードを変えずに音高だけを変化させることも、音高を変えずにスピードだけを変化させることも可能になりました。

ただ、実際には言うほど簡単ではなく、正確に処理しようと思ったら難しい計算が必要でした。

だからそういう使い方をしていた人は多くないんじゃないかな。

私は当時、父親に頼んで計算式を教えてもらいました。

今やその計算式も使う必要がなくなり、どんなものだったか忘れてしまいましたが…。

 

 

しばらくするとスウェーデンのPropellerhead社がReCylce!というソフトを開発します。

これはサンプリングした音素材を自動的に細かく切り刻んでくれるというソフトで、こんなの今では当たり前ですが、当時はめっちゃ画期的なシロモノでした。

これによって、元の音素材の一部の音高だけを上げ下げすることが容易になりました

それでもなお、ピッチ補正という使い方をするにはめちゃくちゃ大変だったと言わざるをえませんが…。

 

 

…ヤバい。

めっちゃ長くなっちゃう…。

ここでいったん〆ます。w

 

つづきます。

【DTM】シンセサイザーとは4(LFOとまとめ)

前回の記事はこちら

 

アナログシンセサイザー(以下シンセ)は特定の役割を持ったいくつかのセクションが集まってできています。

セクションごとの簡単なご説明その4と、まとめです。

 

オシレーター、フィルター、アンプ(エンベロープ)と来まして、

最後は

LFO

です。

 

 

おそらくシンセに慣れていらっしゃらない方にとっては、こいつがもっとも分かりにくいのでは?

でも要点を押さえていけばさほど難解でもありません。

LFOこそがシンセの最もシンセらしい部分でもあるので、ぜひ使いこなしてくださいね。

 

 

LFOとはLow Frequency Oscillatorの略です。

言葉は難しいですが、ようは音に対して時間的な変化を加えるセクションです。

前回のアンプセクションでお話したアンプ・エンベロープやフィルター・エンベロープも時間的な変化と言えますが、それらが発音(鍵盤を押すタイミングや放すタイミング)に付随したものだったのに対し、

LFOの変化は周期的なものです。

 

 

・LFOを何に適応するか

 

LFOは音程や音量、音色、定位(※1)といった要素を周期的に変化させることができるわけですが、何を変化させるかは、LFOを何に対して適応させていくかによって定めていきます。

音程(※2)ならオシレーター内のPITCHに、音量ならアンプに、音色ならフィルターのCUT OFFに…といった具合にLFOをかけて(適応させて)いきます。LFOを何にアサインするか、という言い方もします。

 

※1 音の配置。ステレオ再生したとき、左右や前後(奥行き)のどのあたりで聴こえるか。ここでは左右のみの定位ですね。

※2 正確には音程とは「ある音とある音の音高の差」を指した言葉で、今回のような場合には音高(PITCH)と言うべきですが、おそらく音程と言った方が伝わりやすいためそうしています。

 

 

何を変化させたいか、に準じてLFOをアサインしたら、次はどのように変化させるかを決めていきます。

ひとくちに変化と言ってもいろいろですが、ここではそれを「周期」「変化の形」「変化の深さ」といった要素で定めていきます。

 

・RATE / SPEED

このパラメーターで変化する周期の速さを調節します。

ソフトシンセなどでは「SYNC」と言って、楽曲のテンポに則した周期の速さを8分音符や1拍3連符といった音符の長さで設定することも可能です。

 

・WAVE

このパラメーターで変化の形を選びます。

サイン波、三角波、ノコギリ波、矩形波、それぞれの波の形に沿って変化していきます。

 

・DEPTH / AMOUNT

このパラメーターで変化がかかる度合い(深さ)を調節します。

 

 

いかがですか?

文章を読むだけだとやっぱりややこしいと感じるかと思いますので、やはり実際にシンセを触りながら確認していただけるといいと思います。

 

何(どの要素)を変化させたいか、それによってLFOをどこにかけて(適応させて)いくか。

このあたりの概念が分かってくると、じつにいろんな音色を作っていくことができると思います。

 

 

 

まとめ

 

さて、4回にわたって書いてきましたが、シンセを構成する主なセクションはこんなところです。

各セクションは下の図のようなイメージで繋がっています。

オシレーターで元の音色を選び→フィルターで音色を加工して→アンプエンベロープで発音のときの音量変化を設定して→LFOで各セクションに周期的な変化を加える。

他にはコーラスとかディレイみたいないわゆるエフェクトを内臓しているものもありますが、それはここでは省略しちゃいます。

 

う〜〜ん。

なるべく分かりやすくと思って書きましたが、ぶっちゃけ難しいですよね。爆

 

でもシンセは面白いですよ!

 

ハマった人はみな時間を忘れて弄ってしまう。そんな中で偶然生まれた音からインスパイアされて曲ができることもあります。

一方、頭の中に作りたい曲のイメージがある場合などは、0からシンセのパラメーターを弄って音を作っていくよりプリセットから音色を選んだ方が効率的なこともあるでしょう。

 

プリセットの音をそのまま使うことに賛否はあると思いますが、それは作りたい音楽が何に重きを置いているかによって変わってくるところだと思います。

個人的には、今はプリセットを使うことも多いですが、プリセットを使わずサウンドを作ることに拘っていた時期もあります。

 

ただ、プリセットを選んだとしても、この連載でお話ししたシンセの基本的な仕組みが分かっていると、そこからより自分が求めているサウンドに微調整していくことも可能です。

ぜひ一歩踏み込んでシンセを使いこなしてみてください!

 

歌モノとインスト

 

ポピュラーミュージックにはジャンルとは別の、場合によってはより大きな括りとして、「歌モノかどうか」という区別があるかと思います。

 

「歌モノ」っていうのは歌が入っている音楽の俗称ですね。そのまんまです。

一方、歌が入っていない楽曲を「インストゥルメンタル」と言い、略して「インスト」と呼ばれたりしています。

 

ポップスやロックでは圧倒的に歌モノが多いですよね。

ジャズなんかだと歌が入っていない曲もいっぱいありますね。

ハウスやテクノなどのダンスミュージックもインスト曲はたくさんありますが、ちょっとしたメロディを歌う声が入っていたりして、歌モノかインストかの境が曖昧なものもとても多い。

 

 

みなさんは普段、歌モノとインスト、どちらを聴くことが多いですか?

 

一般的には歌モノの方がたくさん聴かれているとは思いますが、実際その割合はどのくらいなんでしょうか。

個人的には普段、歌モノとインストを特別意識して分けてはいませんが、歌の有無というのはけっこう大きな違いだなぁとあらためて思ったりしている今日この頃です。

やっぱり我々にとって人の声は、どんな楽器も敵わない、強烈に訴える何かがあるのだと思います。

 

加えて歌モノは「歌詞」があるおかげで、イメージがし易いとも、イメージが限定的になるとも言えます。

 

もっとも、歌は楽器が生まれる前からあるわけで、手拍子や踊りなどと並びもっともプリミティブな音楽的表現です。

その背景を想像すると、「歌詞=言葉」と歌は初めからセットだったでしょうから、音楽と人の声と言葉の結びつきは強いはずです。

 

 

しかし、私は英語をたいして聞き取れないので、他の言語も含めて日本語以外の歌詞で歌われていると、その歌詞の意味は分かりません。

私のような人にとってのいわゆる洋楽は、「人の声は入ってくるけど言葉の情報は入ってこない」という意味ではまた別のカテゴリーになるのかもしれません。

 

スキャットやハミングのように歌詞がなく人の声を楽器的に使うこともありますね。

この場合は歌モノ?インスト? まぁどっちでもいいですけど。

 

 

とにかく「歌=人の声」と「歌詞=言葉」はやっぱり特別なんでしょうね。

 

ただ、これはもちろん優劣の話ではありませんで、インストにはインストの良さがあるわけです。

普段歌モノばかり聴いていらっしゃる方は、インストも聴いてみると、また新しい発見があるかもしれません。

 

【ピアノ】コード弾き入門その4(短3度音程を弾く)

 

前回の記事はこちら

 

前回は弾くことはちょっとお休みして「音名を覚えましょう」ということでしたけれども、いかがでしょうか。

覚えられましたか?

 

 

今回はまた弾いていきましょう。

「白鍵と黒鍵の区別をなくす」ことを目的として、連載その1の回でクロマチックスケール(半音階)を、その2ではホールトーンスケール(全音音階)を弾いてきました。

もう少しだけこれを続けていきます。

 

 

次は何をするか、勘のいい方はお気づきかもしれません。

今回は鍵盤で言うと3つ隣へとステップしていく音階を弾きます。

「2つ飛ばし」という言い方もできますね。

 

鍵盤で3つ離れた音同士の音程を短3度(マイナー3rd)と言います。

 

そして短3度でステップしていくこの音階をディミニッシュスケールと言います。

(名前は覚えなくても大丈夫です。)

 

クロマチックスケールやホールトーンスケールのときと同様に、順次3つ隣へと弾いていきます。

今回も注意点としては間違えないように丁寧に弾くくらいで、あまり細かいことは気にしなくて大丈夫です。

 

やはり「利き手じゃない方の手」で弾くことをオススメします。

反対の手で弾くときは、鏡写しのように左右を反転させればOKです。

 

 

ホールトーンスケールは「2通り」ありましたね。

ディミニッシュスケールは1つ増えて「3通り」になります。

その代わり、1通りの中で使う音の種類は4音と減ります。

 

やはりどの音からでもスタートできることが大事ですが、ここでは便宜上、3通りのスタート音をそれぞれC, C♯/D♭, Dとしましょう。

それぞれのスタート音から順次3つ隣へと弾いていくだけですが、使う音の音名も記載しておきますね。

 

[Cスタートのライン]

C, D♯/E♭, F♯/G♭, A

 

[C♯/D♭スタートのライン]

C♯/D♭, E, G, A♯/B♭

 

[Dスタートのライン]

D, F, G♯/A♭, B

 

クロマチックスケール、ホールトーンスケールと弾いてきた方にとっては、もうさほど難しくありませんよね。

じっくり取り組んで、短3度音程をどこでもパッと弾けるようにしちゃいましょう。

 

 

さらに今回は、音階(スケール)として順次音を移行させていくだけでなく、

「2つの音を同時に(合わせて・重ねて)弾く」ということもしてみましょう。

 

先ほど弾いた短3度音程で、ある音とその3つ右隣の音を合わせて弾いていくわけです。

 

CとD♯/E♭の2音

C♯/D♭とEの2音

DとFの2音

といった具合です。

 

今の段階では、どの指で弾くかはさほど気にしなくても良いと思います。

これはダイレクトに「コード弾き」に繋がる練習ですので、ぜひ慣れておいてくださいね!

 

よかったら動画も参考にしてみてください。

 

 

つづきます。

楽しむことと上達すること

今年もあっちゅーまに2ヶ月が過ぎましたね。

 

ところで先日、Twitterでこんなものを見かけました。

 

 

このなにやら怒っていらっしゃる方は、2000年代以降のジャズシーンでは最重要人物と言っていいであろう、ピアニストのロバート・グラスパーさんです。

ミュージシャンの桃井裕範さんが字幕をつけてくれています。

 

要約すると、

「(おそらくSNS経由で)何でもかんでもオレに聞いてくるな」

「音楽なんだから音を聴いて判断しろ、判断する力を身につけろ」

「上達したけりゃ楽をしようとするな」

と、こんな感じです。

 

 

これを受けてネット上では、多くの方が「もっともだ」というような反応をしているようです。

 

言い方はちょっとアレかな〜と思いますが、グラスパーさんはこういったことでウンザリする思いをたくさんしたのでしょうね。

 

私もグラスパーさんがおっしゃることに概ね同意です。

ミュージシャンとして力をつけたい人にとっては、正論なのでしょう。

 

 

しかし、みんながみんな自力でコードや拍子を判断する力を持っているわけではありません。

グラスパーさんは「がんばってその力を身につけるんだよ、そりゃ努力せなアカンよ」とおっしゃるわけですが、はっきり言って氏の音楽はときに難解です。

かなりの努力をして「力」を身につけないかぎりは分析が困難なこともあるでしょう。

 

だから、「とにかく彼の素晴らしい音楽マジックのタネを知りたい」という好奇心が勝ってしまう。

 

実際に直接ご本人に聞くというのは超大胆不敵だとは思いますが、知りたいというその気持ちは分からなくはありません。

 

 

でも、この「魔法のタネ」は簡単に知ってしまわない方がいいような気もします。

 

例えとして良いか分かりませんが、手品のタネを簡単に知ろうとするより、まるで魔法のようなその不思議を存分に味わう方が素敵なんじゃないでしょうか。

音楽なら、なんだか不思議な響きのコードだな、予想できない展開だな、何拍子か分からないけどカッコいいな…って。

 

それが転じて自分でも演奏しよう、自分でも作ろう、となった場合には、やはり手っ取り早くタネを知ろうとすべきではないのは、グラスパーさんのおっしゃるとおりだと思います。

 

 

逆に言えば、大好きでどうしても演奏したい曲を耳コピしない(「できない」ではなく、やろうともしない)のならば、他のどの曲でも自発的には行うことはないでしょう。

「簡単に楽譜が手に入らない、けど演奏したい!」という曲に巡り会えたなら、これはチャンスだとも言えます。

ぜひ耳コピにトライしてみてください。

全部分からなくてもいいんです。がんばって分かりそうなところだけでも自分で探ってみると、それは大きな力になります。

 

 

 

さて、私個人的にはスクールの生徒さんに、単に演奏する力だけでなく、音楽を聴いて構造を理解したり、自分でも作っていけるような「音楽力」を身につけていただきたい、という思いを持っています。

生徒さんによっては、そのための音感・リズム感のトレーニングや音楽の知識を蓄えることもしています。

 

しかし、音楽の楽しみ方は人それぞれ

 

楽譜を見ながらそれをがんばって形にするのも、素敵な音楽の楽しみ方の1つです。

 

上達に関して言えばけっきょくは自身の努力がモノを言うわけですが、「こうでなくてはいけない!」とは考えず、今楽しいと思えることがあるなら、そのやり方でしばらく続けてみるのも良いのではないでしょうか。

 

 

楽しむことと上達することの関係性はとても重要だし、興味深いものがあります。

普通に考えたら上達に比例して楽しくなっていきそうですが、現状のレベルでも楽しむことはできるはずですし、いくら上達するためとはいえ全く楽しくないのもどうかと思います。

バランスが大切だということです。

 

 

音楽をしようとしたとき、そのどちらに重きを置くのかは自分で整理しておくといいのかもしれません。

今は楽しむ時間、今は向上の時間と、そのときそのときで切り替えるのも有効だと思います。

 

 

言わずもがなですが、楽しむことと、楽(ラク)をすることは違います

グラスパーさんは、楽をすることを良くないと言っているようにも見えますが、楽をすることの全てがNGということもないと思います。

効率化が測れるところは楽をしても良いと思います。

肝心なところで楽をしようとすると、何にもならないよ、ということだと思います。

 

【ドラム】好きなドラマー4(足クラーベ?)

 

私の好きなドラマー

 

4人目は

オラシオ “エル・ネグロ” エルナンデス

(Horacio “El Negro” Hernandez)

です。

 

 

3人目までは比較的手数の少ないスタイルのドラマーでしたので、ここらでちょっと趣向を変えてみました。

 

 

エル・ネグロはキューバ出身で、アフロ・キューバン・ジャズおよびラテン・ジャズのシーンでは筆頭の超絶ドラマーです。

過去にサンタナ、ミシェル・カミロ、キップ・ハンラハン、ジャック・ブルースなどのバンドで叩いていて、日本では渡辺香津美さんや綾戸智恵さんと共演しています。

 

 

そんなエル・ネグロのドラムは、まぁ、ひとことで言って

エグいです。w

 

元来は個別に演奏するラテンパーカッション(ティンバレス、コンガ、ボンゴ、ウッドブロック、カウベルなど)をドラムセットを用いて1人で行ってしまうのが彼のスタイル。

クラーベを左足で踏みながら、変幻自在のリズムを叩き出します。

いわゆる完全な四肢独立

 

今でこそ同じようなことができるドラマーは他にもいますが、彼のドラムを初めて聴いたときは腰抜かしました。

いや、聴いたときじゃないな、見たときですね。

「え!1人でやってんの?コレ!?」って。

 

 

 

さらにはインタープレイ(演奏者同士で触発・反応し合い即興演奏を行うこと)も素晴らしい。

バカテクピアニスト、ミシェル・カミロのバンドなどでは素晴らしいインタープレイの応酬が聴けます。

このテンポ感でこの涼しい顔。どーゆーこと!?

 

 

しかもエル・ネグロの打ち出すリズムは非常に柔軟で、ラテン特有のリズム訛りもあります。

このあたり、並のテクニシャン系ドラマーだとスクエアなリズムになって「技術がすごい!」という面ばかりが見えてしまいますが、エル・ネグロのドラムは本当に気持ちよく、ずっと聴いてられます。(私は)

やっぱりリズムが気持ちいいこと、俗に言う「歌っている」ことはすごく重要なんだろうなあ。

そういう意味では手数も多いしスタイルは全然違うけど、私の中で先に挙げたグルーヴ系のドラマーと共通する何かがあるんだと思います。

 

【DTM】シンセサイザーとは3(アンプエンベロープ)

前回の記事はこちら

 

アナログシンセサイザー(以下シンセと略します)は特定の役割を持ったいくつかのセクションが集まってできています。

セクションごとの簡単なご説明、その3。

 

 

オシレーター、フィルターときて、今回は

・アンプ(VCA)

です。

 

 

アンプセクションは音量を調節する場所です。

ただ音量を上げ下げするだけじゃなく、発音に際しての細かい音量の変化を調節することができます

 

いろいろな音を聴くとき、実際のところその印象は音色だけじゃなく、音量の変化にも大きく左右されています

 

たとえば打楽器やギター、ピアノといった楽器の音は、鋭く立ち上がって徐々に減衰していきます。

一方、奏法にもよりますが、ヴァイオリンなどの擦弦楽器は、音がゆっくり立ち上がります。

また、鍵盤を離すまで音量が一定にキープされる(減衰しない)オルガンなど、それぞれに音量変化の特徴があるわけです。

 

 

こういった時間的な音量の変化を生み出すのが、アンプセクションにあるエンベロープ・ジェネレーターです。

シンセサイザーのみならずサンプラーなどにもエンベロープ・ジェネレーターは搭載されています。

 

具体的には「ADSR」というパラメーターで音量変化をコントロールしていきます

 

ADSRとは、アタック(Attack)ディケイ(Decay)サスティン(Sustain)リリース(Release)の頭文字を取ったものです。

それぞれ何を意味しているのか見ていきましょう。

 

 

・アタック(Attack)

アタックタイム。

音が発音してから最大音量になるまでの時間です。

この値が0ならば音は鋭く立ち上がり、値が大きければゆっくり立ち上がっていきます。

 

・ディケイ(Decay)

ディケイタイム。

最大音量に達してから、サスティンで定めた音量に落ちていくまでの時間です。

この値が大きければゆっくりと減衰していき、小さければ音の立ち上がりが強調されます。

 

・サスティン(Sustain)

サスティンレベル。他の3つがタイム(時間)なのに対し、サスティンの値だけはレベル(音量)を示します。

鍵盤を押し続けるなど、音が入力されている状態で持続される音量です。

音量が減衰していくような音にするにはこの値を小さく、減衰して消えていくようにするにはこの値を0に、オルガンのような減衰しない音にするにはMAX値にします。

 

・リリース(Release)

リリースタイム。

鍵盤を押すことをやめたとき、そこから音量が0になるまでの時間です。

音の「余韻」の部分です。

 

 

 

音のイメージに合わせて、エンベロープの設定例をいくつかあげておきます。

 

鋭く立ち上がって徐々に減衰し消えていく音

アタックは0、サスティンも0、ディケイで減衰加減を調節します。

 

ゆっくり立ち上がり余韻が長い音

アタックの値で立ち上がり具合を調節、サステインをMAX、リリースを長めにして調節します。サスティンがMAXのためディケイ値は関係ありません。

 

鋭く立ち上がって音量をキープし、スパッと消える音

アタックは0、サスティンはMAX、リリースは0にします。サスティンがMAXのためディケイ値は関係ありません。

 

どうでしょうか?

ややこしいですよね〜。

でも、音のキャラクターを定めるうえではとっても大事な要素なので、ぜひいろいろ試しながら要領を掴んでみてください。

 

 

 

あっ、忘れるとこでした!

 

じつはこのエンベロープ・ジェネレーターは、アンプのみならず、フィルターにも適応させることができます。(機種によって)

 

フィルター用のエンベロープ・ジェネレーター。(フィルター・エンベロープ・ジェネレーターと言います。)

 

アンプのときと同様にADSRのパラメーターで調節していくわけですが、アンプのときは「音量」が対象だったのに対し、ここでは「フィルターのかかり具合」を時間の経過にともない変化させていくことになります。

フィルターセクションでカットオフの値をやや低めにしておいて、ADSRの値をいろいろ変えて音の変化を確認してみてください。

 

 

つづきはこちら

二周年のご挨拶

festina-lente music schoolは本日、2021年222日をもちまして

開校から二周年を迎えることができました。

 

これもひとえに、日頃からレッスンをご受講くださっている生徒さまと、

ご支援くださっているみなさまのおかげでございます。

心より感謝申し上げます。

 

ちょうど去年の今頃、二年目の飛躍をと息巻いていたところに新型コロナウイルス感染症。

当スクールも打撃を受けました。

 

営業自粛を経て、なんとかこの状況に対応していかねばと、

オンラインクラス、エントリークラスの新設および、

ドラム/パーカションや鍵盤ハーモニカなど新コースの開講を実施いたしました。

とくにオンラインクラスは手探りで当初は生徒さまにご不便もおかけしましたが、

やはりこの状況下でもご受講いただけること、

また、遠方の方にも気軽にレッスンをご受講いただけることは大きなメリットとなっています。

 

今もって苦しい状況は続いていますが、

「こんなときでも、いや、こんなときだからこそ音楽を」

という思いを持って踏ん張っていく所存です。

 

また、不躾なお願いかとは存じますが、

手前どもに出来ること、スクールのスペースを活かせること等、

何かございましたらお声がけいただけますと幸いです。

 

今後とも、何卒ご愛顧ご支援賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

 

 

株式会社Hi-Fields    festina-lente music school

代表 高野はるき

副主任講師 chie(丸山千絵)

 

マドンナを今さら語る

 

今日はマドンナについて書いてみようかと思います。

 

言わずと知れたスーパースター。

史上で「最も売れた女性歌手」および「最も成功した女性アーティスト」としてギネス記録にもなっています。

 

ただ、本国では分からないですが、日本ではもう、その存在は単なるビッグネームと化していて、その音楽性やアーティスト像に(今さら)フォーカスを当てられることがあまりないような気もします。

もしかしたら若い方の中には、「マドンナの曲を聴いたことがない」「マドンナの顔がはっきり分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

 

マドンナは1958年生まれで、現在62歳。

しかし直近の映像を見ても、にわかには信じられないほど若々しく力強い。

 

なんなんでしょう、このエネルギー。

若い頃はセックスシンボルと言われていましたが、今は…齢を超越した存在で、なんかすごい。w

 

 

1982年にデビューし、1984年のシングル「ライク・ア・ヴァージン(Like A Virgin)」が世界的な大ヒットとなりブレイクします。

以来、常に第一線に立ち続けている、他に類をみないエンタメ界の怪物です。

デビューから来年で40年!

 

 

私は、ライク・ア・ヴァージンの頃はガキだったので、アルバムで言うと「エロティカ(Erotica)」や「ベッドタイム・ストーリーズ(Bedtime Stories)」あたりからがリアルタイムです。

そこから「コンフェッションズ・オン・ア・ダンスフロア(Confessions on a Dancefloor)」くらいまではガッツリと、また、さかのぼってデビューからの作品もよく聴きました。

まぁそこそこのファンと言っていいかと思います。

その後、ここ10年くらいはアルバムも聴きかじるくらいで、やや離れてしまっている感は否めませんが。

 

 

さて、

彼女がすごいのは、第一に売れ続けていることです。

 

売れるということはポップスにおいて重要なことです。

いろいろな考え方があると思いますが、ポピュラーミュージック≒商業音楽とすれば重要なファクターでしょう。売れてナンボ…。

歌手やアーティストの中には、活動期間が長くなってくると往々にして芸術的志向や思想的な表現欲求が強くなり、その反動で売り上げが落ちていく、という例が少なくありません。

マドンナもずいぶん前から思想的なことでは主張の強い人でしたが、それでも彼女の音楽はポップであり続けます。

さらにダンスミュージックであり続け、エンターテイメントであり続ける。

 

そのために彼女は常に時代を先取りし、若い音楽やヴィジュアルのクリエイターとチームを組んで作品を作り出してきました

 

このあたりは同い年のスーパースター、プリンスがそのほとんどを自身の力のみで行い、結果として、ときに商業的な成功からは離れてしまったのとは対照的です。

もう1人、同い年のスーパースターにマイケル・ジャクソンがいます。彼はマドンナと同じように素晴らしいプロデューサーと作品を作りましたが、「スリラー(Thriller)」や「バッド(BAD)」といった超ド級のヒット作を世に出したあたりをピークにその後は次第に寡作になり、ニュージャック・スウィングやヒップホップといった新しい波に対してはやや保守的と言うか若干遅れをとっていたようにも思います。

 

そこへ行くと、マドンナの先見の明はすごいの一言。

 

最近の作品なんて、もはやこっちがその尖った感覚について行くのがやっと…。

おそらくは今や、作品作りの現場でも、ライブの現場でも、チーム内ではマドンナが一番年上なんじゃないでしょうか。

しかし彼女には同世代にだけ共感を求めるようなある種の消極性は皆無!

若いスタッフとユースカルチャーに感化されながら、そこに自らのアイデンティティを掛け合わせていきます。

 

押しも押されぬ天才、プリンス。

抜群の歌唱力とダンスで世界中を魅了したキング・オブ・ポップ、マイケル。

音楽的なポテンシャルではこの2人に及ばずとも、長きに渡ってトップセールスを記録し続けてきたことからも明らかなように、マドンナは2人に勝るとも劣らない最高・最強のエンターテイナーです。

 

 

あっ、音楽的にはダメということではないので誤解なきよう。

あまり歌が上手いとは言われないマドンナですが、少なくとも下手じゃない。

アメリカのエンタメ界では、比べる相手がもうみんなバケモンみたいに上手いですからね…。

とにかく個人的には彼女の歌唱は魅力的だと思います。

 

可愛らしい声質をそのままに、非常にクセがなく素直に歌うのが彼女の特徴です。

「〇〇っぽく」という作為的な部分がまったくと言っていいほど無い。

例えば、ゴスペル的な熱っぽい歌い上げはおそらく彼女自身の根っこに無い。

であるならば曲のアレンジが「そう」であっても、歌唱はそこに流されない、という。

これはじつはなかなかに難しいことではないかと思います。

いい意味で、デビュー前から強く影響を受けていたシンガーがあまりいないのではないかと想像します。

また、クセっぽさ全開でオリジナリティを出す歌手はたくさんいますが、こんなにもクセがないことが個性になっているのはとても興味深い例です。

 

 

もう1つ書いておきたいのが、デビュー当時からシングル曲を12インチレコードでリリースしてきた点です。

7インチドーナツ盤ではなく12インチのEP(エクステンデッド・プレイング)は、シングル盤の音圧で5分6分を超える長尺の曲を収録するためのものでした。(同じ12インチでもアルバムはLP(ロング・プレイング)といってシングル盤より音圧が落ちる)

これはもちろんDJユーズのためで、ここにはマドンナの出自がナイトクラブであることが大いに関わっています。

マドンナの当時の恋人は、その界隈では知らぬ人はいないジェリービーン(Jellybean)というDJで、彼はいわゆるリミックス・ワーク(この場合、クラブでDJがかけやすいような曲調にアレンジしなおすこと)の達人でした。

ジェリービーンはマドンナのファーストアルバムのプロデュースや、諸作のシングル曲のリミックスを手掛けました。

ここから成功の足掛かりを掴んだマドンナ。

彼女の根っこには今もクラブで踊るための音楽があるのでしょう。

 

 

 

かわいい。ファッションも最高っす。

 

この曲で大ブレイク。MVでは途中のリズムのキメにライオンの舌の動きを合わせたのが天才的ですね。w

 

このMVは「スーザンを探して」という映画の映像が使われてます。

マドンナは映画ではだいたいコケちゃうんだけど、「フーズ・ザット・ガール」「ディック・トレイシー」「エビータ」「プリティ・リーグ」…どれも意外と好きです。

 

これも代表曲。MVでは「ヴォーギング」というダンスも話題に。

 

MVは長回し1カット!美しい。

 

UKのブレイクビーツ・ユニット、マッシヴ・アタック(Massive Attack)との共作。美しい。

 

曲もMVも好きなやつ。

 

この曲も大ヒット。何度目かのブレイク。

 

近年。しゅごい。

 

【ドラム】好きなドラマー3(ズレるビート?)

 

私の好きなドラマー

 

3人目は

クエストラブ

(Questlove / ?estlove)

です。

 

 

スティーヴ・ジョーダン、アッシュ・ソーンときて、クエストラブ。

3人ともご存知の方であればなんとなくお気づきかと思いますが、私はグルーヴ系のドラマーが好きです。

派手さや手数はむしろ控えめな方が好み。

もちろん、派手で手数が多いドラマーにグルーヴが無いわけではないし、テクニシャンの中にも好きなドラマーはいますが。

 

 

クエストラブはアメリカのヒップホップバンド「ザ・ルーツ(The Roots)」のドラマーであり、その界隈のヒップホップやネオソウルといったブラックミュージックのクリエイターでもあります。

DJをやったり、アメリカのテレビ番組にもよく出演しているみたいです。

 

 

彼のドラムを最初に聴いたのは、ザ・ルーツのセカンドアルバム「Do You Want More?!!!??!」(1995年)でした。

その作品はドラムだけでなく、すべてが衝撃的でした。

なんたって「」ですから。

ヒップホップという音楽はその生まれや特徴から、「生で演奏する」ということが今もって珍しいのです。

 

ドシッとしたキックとカン高いスネアが、いわゆるポケットで、ゆったりと繰り返(ループ)されるドラム。

 

マジか〜〜。

気持ち良すぎるでしょコレ!

 

私がグルーヴ系のドラムを初めて意識した瞬間でした。

 

 

 

 

ズレるビート

 

さらにクエストラブは、ソウルシンガーのディアンジェロ(D’Angelo)によるソウルミュージックの金字塔的アルバム「Voodoo」(2000年)で、後に大きな影響を及ぼすことになる「ズレ」るドラム(ビート)を叩きました。

当初は理解する人が少なかったようですが、10年ほど前からかな?じわじわとその中毒的なビートに感化される人が多くなり、今では「ドランクビート」「ディラビート」などと呼ばれ、ひとつのスタイルとして認知されています。

 

この「ズレ」はディアンジェロが、ヒップホップのビートメーカー(ラップを乗せるための音楽を作る人)であるJ・ディラ(J Dilla)の作るビートのような「ズレ」を生で演奏するように、クエストラブにリクエストしたそうです。

クエストラブいわく、「J・ディラとディアンジェロがオレにクオンタイズやめさせた」ということです。

とは言え、J・ディラの作るビートがすべてズレていたわけでもないし、ディアンジェロもそういったある種のレッテルを貼られることを嫌っているようです。

 

 

ともあれ「Voodoo」では、それまでの正確無比なドラムから一転、グワングワンに酔っ払ったようなドラムに。

しかし彼のドラムは、スクエアなビートでもズレたビートでも、それが延々と繰り返されることで生まれる強力なサイクルがあります。

 

 

クエストラブの最近の活動までは追いきれていないのですが、やっぱり私の中ではスペシャルなドラマーであることに変わりはありません。

 

 

ザ・ルーツによるJ・ディラのカバー集。まぁ、カッコいいに決まってるやつです。

 

ザ・ルーツ feat. エリカ・バドゥのナンバー。このスネア!イン・ザ・ポケット!

 

「Voodoo」からのナンバー。ピノ・パラディーノのベースとの絡みがネチネチしてて最高。