TRIAL LESSON レッスンを体験しませんか
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「達成感」は求めない

前回からのつづき

 

私は「達成感」を音楽に求めるのは、やや違うのではないか、と感じています。

音楽とは達成するものではなく、永遠と続く道程を楽しむようなものだと思っています。

 

よく、発表会やライブなどの目標やイベントがあると、それをモチベーションにがんばれる、という声を聞きます。確かにそれはがんばる気持ちの着火剤にはなるかもしれませんが、それがないと楽しめない、がんばれないというのは、なんだか本質が抜け落ちているように思います。

 

良い例えかどうかわかりませんが、恋人同士が長く付き合って行くのに、記念日や旅行、非日常的なイベントや刺激はあると良いのかもしれません。かもしれませんが、それがなかったら付き合いをやめてしまうんでしょうか。もっと言えば、記念日を一緒に過ごし、一緒に旅行に行くために付き合っているのでしょうか。違いますよね。

 

節目はあります。

発表会が終わった。ライブが終わった。曲が仕上がった。レコーディングが終わった。

その都度達成感はあると思います。それは当たり前です。それが間違っていると言っているのではありません。

でも、達成感を感じたいからそれらをやるのではなく、やりたいからやる、楽しみたいからやる、のがストレートだと思います。その結果として、節目の達成感がついてくる、と。

 

つづく

音楽の楽しみとは

 

前回からのつづき

 

音楽(歌や楽器を奏でていくこと)の楽しみとは、どんなものなのでしょうか。

ちょっとイメージしてみてください。

 

本質的には、音楽の楽しみとは、簡単に言葉で言い表せないものだと思っています。

だからこそ素晴らしいのだと。

でも、それでは話が終わってしまうので、少し具体的に考えてみましょう。

 

達成感、ストレス発散、共有する喜び……

 

どうですか?他にもいろいろありますよね。

楽しみを何もイメージできなかったら、それでも音楽をやる理由は、それこそ「モテたい」みたいなモチベーションじゃないかと思いますが、これはいったん置いておきましょう。(このことは、実はとっても大事だと思っていますが。)

 

で、楽しみですが。

 

上記の内、「共有する喜び」と言うのは確かにあると思います。バンドやセッションで、自分以外の人間と1つの音楽を共有するというのは、なかなか代用のない、素晴らしい感覚を味わえるはずです。

 

「ストレス発散」はどうでしょう。はい。こういう側面もあって良いと、私は思います。

ただ、これは「上手くやる」ことに意識がフォーカスしてしまっては、なかなか難しいのではないでしょうか。

声を出したり、楽器を使って発音すること自体に、シンプルな喜びは確実にあります。

技術が上がり知識が増えることで、この初期衝動的な喜びは薄れていきがちですが、忘れないで、また、思い出していきたいところです。

 

では「達成感」はどうでしょうか。

 

 

つづく

マインドセット

前回からのつづき

 

実際のところ、歌や楽器を始めるのであれば、それを誰かに聴いてもらうことを想定し目標にするのは自然なことですし、素敵なことだと思います。

 

ただ、とくに初心者のうちは「周囲からの視線や評価」と「他人との比較」が、楽しむことへの原動力になることよりも、ネガティブな気持ちの要因になることの方が多いのではないでしょうか。

ですからいったんは、「他人からの視線や評価」と「他人との比較」を極力気にしないようにマインドセットしてみると良いと思っています。

 

マインドセットといっても簡単ではないですが、これはもう自己暗示のようなものなので

「自分が思うほどは、周囲はその当人の歌や演奏について関心がない場合がほとんどだ」

というような割り切った考え方を、常に自分に言い聞かせていきましょう。

(これを今度は、いざ関心を持ってもらおうとすると、それはそれでなかなか難しかったりします。)

 

多分に各人の性格によるところがありますので、どうしても気になってしまう、という方もいらっしゃるとは思いますが、と言うか、そういう方がほとんどだと思いますが、頭では「他人を気にする必要はない」と思うようにしてください。

 

そして、周囲でなく、意識は対音楽へ向けていきましょう。

 

では、音楽(歌や楽器を奏でていくこと)の楽しみとは、どんなものなのでしょうか。

 

つづく

「周囲からの視線や評価」と「他人との比較」

 

前回からのつづき

 

「上手さ」と言ってもいろいろですが、ここで言う「上手さ」とは、言い換えると「テクニック」ということだと思ってください。

ざっくり言えば、素早く、繊細かつ大胆な身体のコントロールをもってして、ミスのない演奏をするということです。

 

それを極めんとする高いレベルのパフォーマンスは、確かに聴く人の感動を呼ぶものですが、このスクールは、音楽を趣味として楽しむ大人のためのものですので、聴く人を感動させられるかどうかより、まず本人が楽しめているかどうかということを重んじていきます。

 

そこで、まず最初に、マインドセットしていただきたいことがあります。

それは「周囲からの視線や評価」そして「他人との比較」についてです。

 

自分の歌唱や演奏を聴いた第三者が、「カッコイイね!素敵だね!」と言ってくれたら、それはもちろん嬉しいですが、逆の感想を抱く可能性を考えると、歌声や演奏を聴かれることに強い抵抗感が生まれます。

上手くなるまでは人に聴かせたくない、という気持ちですね。

これ、私もありましたし、ときに今でもそういう気持ちと葛藤しています。

でも、中には、そんなことを気にもせずに自分の歌声や演奏を、ある意味「さらけ出せる」ような方もいらっしゃいますね。

そんなマインドの方を見ると羨ましく思います。

失敗したり恥をかくことを怖がらないというのは、すごく大事な姿勢だと思います。

 

また、自分はまだまだ下手くそだ、という思いは、およそ本人による他人との比較からくるものです。

そういった気負いがないということは、外野を無視して、素直に音楽に向き合うことにも繋がっていきます。

 

音楽に限らず、とかく人の目を気にしたり他人と比較しがちなのは、この国の文化なのか時代性なのかわかりませんが、この、周囲に向きがちな意識を、純粋に音楽に対してのみ向けていくことができれば、それこそが「音楽を楽しむための力」のもっとも核になるものだとも言えます。

 

つづく

 

写真は本文と関係なくて申し訳ないですが、現代最高のジャズトランペッター、ロイ・ハーグローブを偲んで。

「上手くなること」は命題なのか


はじめまして、festina-lente music school代表の高野はるきです。
スクールではサックス、フルートなどのレッスンを担当します。
どうぞ、よろしくお願いします。

 

さて、このスクールの主なコンセプトとして、上手くなることよりも「音楽を楽しむための力」を身につける、というものがあります。

 

音楽を聴くだけでなく、自分で奏でて行こうとしたときに、多くの方は「上手くなる」ことを目指すのではないでしょうか。

私もそうでしたし、それ自体は何も悪いことではありません。
でも、ときに上手に演奏する人を見て、「あれだけ上手に演奏できたら楽しいだろうな」なんて思ったことはありませんか?その思いは、ひいては、「なかなか上手くならないからもう止めてしまおうかな」とか、ともすれば「上手に演奏できないなら、やる意味がない」なんて考えに至るケースも少なくないと思います。

 

上手な演奏をしている人でも、その人がプロであるならば、必ずしも楽しいだけではなく、いろいろな重圧があるはずです。
反対に、世の中には、アマチュアで、さほど演奏力に長けてなくても、音楽を楽しんでいる方はたくさんいらっしゃいます。

 

そういう意味では、私は、音楽を始めようとしたときに「上手くなる」ということが、なんの疑いもなく、さも命題のように捉えられていることに、なにやらジレンマを感じるのです。

つづく