音楽を演奏するとき、楽譜を見ますよね。
え、見ますか?
当たり前?
今日は楽譜をはじめとする視覚情報について書いてみようと思います。
先に結論から言ってしまえば、「あまり視覚に頼らず耳を育てましょう」ということです。
お断りしておきますと、楽譜を見ることをやめましょうという極端な話ではありません。
あくまで頼りすぎないように、ということです。
そもそも音楽において大切なのは目を使うことより耳を使うことだ、というのはご理解いただけると思います。
例えば、舌で確かめずに見た目だけで料理する、なんてなんだか変ですもんね。
そして料理人の舌が肥えているように、音楽を奏でる人も敏感な耳を育てていくことが、いい演奏や楽しく演奏することにつながります。
耳を育てるとひとことに言っても、音感、リズム感、ハーモニー感、合奏全体を聴く力、個々のパートを聴く力、そして音からイメージを膨らます力などいろいろです。
それぞれの育て方は過去にもブログで触れていますし、レッスンはこれらのことにも重きをおいて進めています。
そしてある程度耳が育ってくると、楽譜の使い方にも変化が起きます。
楽譜がないと次の一音も分からない、だから楽譜にかじり付いて演奏するしかない、といった状態から、取っ掛かりとして楽譜を見る程度になってきます。
楽譜をまるで動作の指示書のように見ていらっしゃる方は、その演奏しようとしている部分の音のイメージが弱い傾向にあります。
イメージがないのに、一所懸命に身体をどう動かせばいいのか、楽譜とにらめっこ。
これはいささか効率がよくありません。
また料理に例えれば、どんな味になるか想像せずにレシピとにらめっこ、なんてことしませんよね。
音楽の場合、手本となる演奏を聴くことができるのであれば、それを聴かない手はないはずです。
リズムやハーモニーを覚えるくらいよく聴いてみましょう。
そう、口ずさめるくらいに。
よく言われることですが、口ずさめないようなものは演奏できません。
口ずさめるようになったら、実際にそれを口ずさみながらそこに動作を合わせていきましょう。
管楽器のような口を塞がれてしまう楽器は、ちょっと慣れが必要ですが頭の中で口ずさむのです。
口ずさめるかどうかが、音のイメージがあるかどうかの確認というわけです。
視覚→運動→音
ではなく
イメージ→運動→音
となっていくのが、ある意味理想だということです。
カラオケボックスやスナックで楽譜を見ながら歌う人を、私は見たことがありません。
それは、今から歌おうとしている曲のメロディをしっかりイメージできているからでしょう。
だから知らない曲は歌えない。
とてもシンプルです。
だから楽器でも、知らない曲は演奏しなくていいと私は思います。
今まで知らなかった曲でも、素敵な曲だな〜と思ったら何度となく聴きたくなりますよね。
それから演奏してみてもいいんじゃないでしょうか。
もしやむをえず、まったく知らないし興味もない曲を演奏することになったなら、楽譜を見てではなく、まずその曲をよく聴き込むことから始めましょう。
知ってる曲でも楽譜がなければ演奏できない、逆に楽譜さえあれば知らない曲でも演奏できる、と当たり前のように思われている気がしますが、はたして…。
あ、言わずもがなですが、非クラシック音楽においての話ですので悪しからず。