前回からのつづき
さらに、音楽を始めるにあたって、最初からそれをひっくり返して達成感を求めようとすると「音楽を楽しむための力」を養うのが難しくなってしまうと、私は考えています。
決まった日程にライブで曲を披露して達成感を得ることが第一の目標であるとすれば、ほとんどの人は最短ルートで目標に向かいたがります。すると、その最短ルートを辿っている最中は(道程を)、楽しむことが度外視されてしまいます。
「音楽を楽しむための力をつける」ことをコンセプトとするfestina-lente music school。
festina-lenteとはラテン語で「ゆっくり急げ」の意で、転じて「急がば回れ」です。
一見、回り道と思えるような道程にも、たくさん楽しみが転がっています。
また、音楽は、ある一定のレベルに達したら、そこで初めて楽しくなるものではなく、その段階ごとの楽しさがあるものです。
ぜひそこに目を向けていただきたいと思っています。足元の蟻や石ころや小さな花に関心を持つように。
あなたから見て「あんなふうに上手に演奏できたら楽しいだろうな」と思うような人も、長く長く続く道の途中であって、きっと、その人は、もっとずっと技術が拙かった頃から、今も、そしてこの先も、その道のりを楽しんでいることと思います。(立場に付随する責任等は別にして)
今を楽しみましょう。
音楽を始めようとしている、もしくは始めたばかりの方は、得てして「出来る人=楽しめる人」と「出来ない人=楽しめない人」といった二極分化に自分を当てはめ、「出来ている人は楽しそうだな」「あぁ、私は出来ないから楽しくもないんだ」「いつになったら出来るようになり、楽しくなるのだろうか」などと考えがちです。