TRIAL LESSON レッスンを体験しませんか
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楽しむことと上達すること

今年もあっちゅーまに2ヶ月が過ぎましたね。

 

ところで先日、Twitterでこんなものを見かけました。

 

 

このなにやら怒っていらっしゃる方は、2000年代以降のジャズシーンでは最重要人物と言っていいであろう、ピアニストのロバート・グラスパーさんです。

ミュージシャンの桃井裕範さんが字幕をつけてくれています。

 

要約すると、

「(おそらくSNS経由で)何でもかんでもオレに聞いてくるな」

「音楽なんだから音を聴いて判断しろ、判断する力を身につけろ」

「上達したけりゃ楽をしようとするな」

と、こんな感じです。

 

 

これを受けてネット上では、多くの方が「もっともだ」というような反応をしているようです。

 

言い方はちょっとアレかな〜と思いますが、グラスパーさんはこういったことでウンザリする思いをたくさんしたのでしょうね。

 

私もグラスパーさんがおっしゃることに概ね同意です。

ミュージシャンとして力をつけたい人にとっては、正論なのでしょう。

 

 

しかし、みんながみんな自力でコードや拍子を判断する力を持っているわけではありません。

グラスパーさんは「がんばってその力を身につけるんだよ、そりゃ努力せなアカンよ」とおっしゃるわけですが、はっきり言って氏の音楽はときに難解です。

かなりの努力をして「力」を身につけないかぎりは分析が困難なこともあるでしょう。

 

だから、「とにかく彼の素晴らしい音楽マジックのタネを知りたい」という好奇心が勝ってしまう。

 

実際に直接ご本人に聞くというのは超大胆不敵だとは思いますが、知りたいというその気持ちは分からなくはありません。

 

 

でも、この「魔法のタネ」は簡単に知ってしまわない方がいいような気もします。

 

例えとして良いか分かりませんが、手品のタネを簡単に知ろうとするより、まるで魔法のようなその不思議を存分に味わう方が素敵なんじゃないでしょうか。

音楽なら、なんだか不思議な響きのコードだな、予想できない展開だな、何拍子か分からないけどカッコいいな…って。

 

それが転じて自分でも演奏しよう、自分でも作ろう、となった場合には、やはり手っ取り早くタネを知ろうとすべきではないのは、グラスパーさんのおっしゃるとおりだと思います。

 

 

逆に言えば、大好きでどうしても演奏したい曲を耳コピしない(「できない」ではなく、やろうともしない)のならば、他のどの曲でも自発的には行うことはないでしょう。

「簡単に楽譜が手に入らない、けど演奏したい!」という曲に巡り会えたなら、これはチャンスだとも言えます。

ぜひ耳コピにトライしてみてください。

全部分からなくてもいいんです。がんばって分かりそうなところだけでも自分で探ってみると、それは大きな力になります。

 

 

 

さて、私個人的にはスクールの生徒さんに、単に演奏する力だけでなく、音楽を聴いて構造を理解したり、自分でも作っていけるような「音楽力」を身につけていただきたい、という思いを持っています。

生徒さんによっては、そのための音感・リズム感のトレーニングや音楽の知識を蓄えることもしています。

 

しかし、音楽の楽しみ方は人それぞれ

 

楽譜を見ながらそれをがんばって形にするのも、素敵な音楽の楽しみ方の1つです。

 

上達に関して言えばけっきょくは自身の努力がモノを言うわけですが、「こうでなくてはいけない!」とは考えず、今楽しいと思えることがあるなら、そのやり方でしばらく続けてみるのも良いのではないでしょうか。

 

 

楽しむことと上達することの関係性はとても重要だし、興味深いものがあります。

普通に考えたら上達に比例して楽しくなっていきそうですが、現状のレベルでも楽しむことはできるはずですし、いくら上達するためとはいえ全く楽しくないのもどうかと思います。

バランスが大切だということです。

 

 

音楽をしようとしたとき、そのどちらに重きを置くのかは自分で整理しておくといいのかもしれません。

今は楽しむ時間、今は向上の時間と、そのときそのときで切り替えるのも有効だと思います。

 

 

言わずもがなですが、楽しむことと、楽(ラク)をすることは違います

グラスパーさんは、楽をすることを良くないと言っているようにも見えますが、楽をすることの全てがNGということもないと思います。

効率化が測れるところは楽をしても良いと思います。

肝心なところで楽をしようとすると、何にもならないよ、ということだと思います。

 

【ドラム】好きなドラマー4(足クラーベ?)

 

私の好きなドラマー

 

4人目は

オラシオ “エル・ネグロ” エルナンデス

(Horacio “El Negro” Hernandez)

です。

 

 

3人目までは比較的手数の少ないスタイルのドラマーでしたので、ここらでちょっと趣向を変えてみました。

 

 

エル・ネグロはキューバ出身で、アフロ・キューバン・ジャズおよびラテン・ジャズのシーンでは筆頭の超絶ドラマーです。

過去にサンタナ、ミシェル・カミロ、キップ・ハンラハン、ジャック・ブルースなどのバンドで叩いていて、日本では渡辺香津美さんや綾戸智恵さんと共演しています。

 

 

そんなエル・ネグロのドラムは、まぁ、ひとことで言って

エグいです。w

 

元来は個別に演奏するラテンパーカッション(ティンバレス、コンガ、ボンゴ、ウッドブロック、カウベルなど)をドラムセットを用いて1人で行ってしまうのが彼のスタイル。

クラーベを左足で踏みながら、変幻自在のリズムを叩き出します。

いわゆる完全な四肢独立

 

今でこそ同じようなことができるドラマーは他にもいますが、彼のドラムを初めて聴いたときは腰抜かしました。

いや、聴いたときじゃないな、見たときですね。

「え!1人でやってんの?コレ!?」って。

 

 

 

さらにはインタープレイ(演奏者同士で触発・反応し合い即興演奏を行うこと)も素晴らしい。

バカテクピアニスト、ミシェル・カミロのバンドなどでは素晴らしいインタープレイの応酬が聴けます。

このテンポ感でこの涼しい顔。どーゆーこと!?

 

 

しかもエル・ネグロの打ち出すリズムは非常に柔軟で、ラテン特有のリズム訛りもあります。

このあたり、並のテクニシャン系ドラマーだとスクエアなリズムになって「技術がすごい!」という面ばかりが見えてしまいますが、エル・ネグロのドラムは本当に気持ちよく、ずっと聴いてられます。(私は)

やっぱりリズムが気持ちいいこと、俗に言う「歌っている」ことはすごく重要なんだろうなあ。

そういう意味では手数も多いしスタイルは全然違うけど、私の中で先に挙げたグルーヴ系のドラマーと共通する何かがあるんだと思います。

 

【DTM】シンセサイザーとは3(アンプエンベロープ)

前回の記事はこちら

 

アナログシンセサイザー(以下シンセと略します)は特定の役割を持ったいくつかのセクションが集まってできています。

セクションごとの簡単なご説明、その3。

 

 

オシレーター、フィルターときて、今回は

・アンプ(VCA)

です。

 

 

アンプセクションは音量を調節する場所です。

ただ音量を上げ下げするだけじゃなく、発音に際しての細かい音量の変化を調節することができます

 

いろいろな音を聴くとき、実際のところその印象は音色だけじゃなく、音量の変化にも大きく左右されています

 

たとえば打楽器やギター、ピアノといった楽器の音は、鋭く立ち上がって徐々に減衰していきます。

一方、奏法にもよりますが、ヴァイオリンなどの擦弦楽器は、音がゆっくり立ち上がります。

また、鍵盤を離すまで音量が一定にキープされる(減衰しない)オルガンなど、それぞれに音量変化の特徴があるわけです。

 

 

こういった時間的な音量の変化を生み出すのが、アンプセクションにあるエンベロープ・ジェネレーターです。

シンセサイザーのみならずサンプラーなどにもエンベロープ・ジェネレーターは搭載されています。

 

具体的には「ADSR」というパラメーターで音量変化をコントロールしていきます

 

ADSRとは、アタック(Attack)ディケイ(Decay)サスティン(Sustain)リリース(Release)の頭文字を取ったものです。

それぞれ何を意味しているのか見ていきましょう。

 

 

・アタック(Attack)

アタックタイム。

音が発音してから最大音量になるまでの時間です。

この値が0ならば音は鋭く立ち上がり、値が大きければゆっくり立ち上がっていきます。

 

・ディケイ(Decay)

ディケイタイム。

最大音量に達してから、サスティンで定めた音量に落ちていくまでの時間です。

この値が大きければゆっくりと減衰していき、小さければ音の立ち上がりが強調されます。

 

・サスティン(Sustain)

サスティンレベル。他の3つがタイム(時間)なのに対し、サスティンの値だけはレベル(音量)を示します。

鍵盤を押し続けるなど、音が入力されている状態で持続される音量です。

音量が減衰していくような音にするにはこの値を小さく、減衰して消えていくようにするにはこの値を0に、オルガンのような減衰しない音にするにはMAX値にします。

 

・リリース(Release)

リリースタイム。

鍵盤を押すことをやめたとき、そこから音量が0になるまでの時間です。

音の「余韻」の部分です。

 

 

 

音のイメージに合わせて、エンベロープの設定例をいくつかあげておきます。

 

鋭く立ち上がって徐々に減衰し消えていく音

アタックは0、サスティンも0、ディケイで減衰加減を調節します。

 

ゆっくり立ち上がり余韻が長い音

アタックの値で立ち上がり具合を調節、サステインをMAX、リリースを長めにして調節します。サスティンがMAXのためディケイ値は関係ありません。

 

鋭く立ち上がって音量をキープし、スパッと消える音

アタックは0、サスティンはMAX、リリースは0にします。サスティンがMAXのためディケイ値は関係ありません。

 

どうでしょうか?

ややこしいですよね〜。

でも、音のキャラクターを定めるうえではとっても大事な要素なので、ぜひいろいろ試しながら要領を掴んでみてください。

 

 

 

あっ、忘れるとこでした!

 

じつはこのエンベロープ・ジェネレーターは、アンプのみならず、フィルターにも適応させることができます。(機種によって)

 

フィルター用のエンベロープ・ジェネレーター。(フィルター・エンベロープ・ジェネレーターと言います。)

 

アンプのときと同様にADSRのパラメーターで調節していくわけですが、アンプのときは「音量」が対象だったのに対し、ここでは「フィルターのかかり具合」を時間の経過にともない変化させていくことになります。

フィルターセクションでカットオフの値をやや低めにしておいて、ADSRの値をいろいろ変えて音の変化を確認してみてください。

 

 

つづきはこちら

二周年のご挨拶

festina-lente music schoolは本日、2021年222日をもちまして

開校から二周年を迎えることができました。

 

これもひとえに、日頃からレッスンをご受講くださっている生徒さまと、

ご支援くださっているみなさまのおかげでございます。

心より感謝申し上げます。

 

ちょうど去年の今頃、二年目の飛躍をと息巻いていたところに新型コロナウイルス感染症。

当スクールも打撃を受けました。

 

営業自粛を経て、なんとかこの状況に対応していかねばと、

オンラインクラス、エントリークラスの新設および、

ドラム/パーカションや鍵盤ハーモニカなど新コースの開講を実施いたしました。

とくにオンラインクラスは手探りで当初は生徒さまにご不便もおかけしましたが、

やはりこの状況下でもご受講いただけること、

また、遠方の方にも気軽にレッスンをご受講いただけることは大きなメリットとなっています。

 

今もって苦しい状況は続いていますが、

「こんなときでも、いや、こんなときだからこそ音楽を」

という思いを持って踏ん張っていく所存です。

 

また、不躾なお願いかとは存じますが、

手前どもに出来ること、スクールのスペースを活かせること等、

何かございましたらお声がけいただけますと幸いです。

 

今後とも、何卒ご愛顧ご支援賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

 

 

株式会社Hi-Fields    festina-lente music school

代表 高野はるき

副主任講師 chie(丸山千絵)

 

マドンナを今さら語る

 

今日はマドンナについて書いてみようかと思います。

 

言わずと知れたスーパースター。

史上で「最も売れた女性歌手」および「最も成功した女性アーティスト」としてギネス記録にもなっています。

 

ただ、本国では分からないですが、日本ではもう、その存在は単なるビッグネームと化していて、その音楽性やアーティスト像に(今さら)フォーカスを当てられることがあまりないような気もします。

もしかしたら若い方の中には、「マドンナの曲を聴いたことがない」「マドンナの顔がはっきり分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

 

マドンナは1958年生まれで、現在62歳。

しかし直近の映像を見ても、にわかには信じられないほど若々しく力強い。

 

なんなんでしょう、このエネルギー。

若い頃はセックスシンボルと言われていましたが、今は…齢を超越した存在で、なんかすごい。w

 

 

1982年にデビューし、1984年のシングル「ライク・ア・ヴァージン(Like A Virgin)」が世界的な大ヒットとなりブレイクします。

以来、常に第一線に立ち続けている、他に類をみないエンタメ界の怪物です。

デビューから来年で40年!

 

 

私は、ライク・ア・ヴァージンの頃はガキだったので、アルバムで言うと「エロティカ(Erotica)」や「ベッドタイム・ストーリーズ(Bedtime Stories)」あたりからがリアルタイムです。

そこから「コンフェッションズ・オン・ア・ダンスフロア(Confessions on a Dancefloor)」くらいまではガッツリと、また、さかのぼってデビューからの作品もよく聴きました。

まぁそこそこのファンと言っていいかと思います。

その後、ここ10年くらいはアルバムも聴きかじるくらいで、やや離れてしまっている感は否めませんが。

 

 

さて、

彼女がすごいのは、第一に売れ続けていることです。

 

売れるということはポップスにおいて重要なことです。

いろいろな考え方があると思いますが、ポピュラーミュージック≒商業音楽とすれば重要なファクターでしょう。売れてナンボ…。

歌手やアーティストの中には、活動期間が長くなってくると往々にして芸術的志向や思想的な表現欲求が強くなり、その反動で売り上げが落ちていく、という例が少なくありません。

マドンナもずいぶん前から思想的なことでは主張の強い人でしたが、それでも彼女の音楽はポップであり続けます。

さらにダンスミュージックであり続け、エンターテイメントであり続ける。

 

そのために彼女は常に時代を先取りし、若い音楽やヴィジュアルのクリエイターとチームを組んで作品を作り出してきました

 

このあたりは同い年のスーパースター、プリンスがそのほとんどを自身の力のみで行い、結果として、ときに商業的な成功からは離れてしまったのとは対照的です。

もう1人、同い年のスーパースターにマイケル・ジャクソンがいます。彼はマドンナと同じように素晴らしいプロデューサーと作品を作りましたが、「スリラー(Thriller)」や「バッド(BAD)」といった超ド級のヒット作を世に出したあたりをピークにその後は次第に寡作になり、ニュージャック・スウィングやヒップホップといった新しい波に対してはやや保守的と言うか若干遅れをとっていたようにも思います。

 

そこへ行くと、マドンナの先見の明はすごいの一言。

 

最近の作品なんて、もはやこっちがその尖った感覚について行くのがやっと…。

おそらくは今や、作品作りの現場でも、ライブの現場でも、チーム内ではマドンナが一番年上なんじゃないでしょうか。

しかし彼女には同世代にだけ共感を求めるようなある種の消極性は皆無!

若いスタッフとユースカルチャーに感化されながら、そこに自らのアイデンティティを掛け合わせていきます。

 

押しも押されぬ天才、プリンス。

抜群の歌唱力とダンスで世界中を魅了したキング・オブ・ポップ、マイケル。

音楽的なポテンシャルではこの2人に及ばずとも、長きに渡ってトップセールスを記録し続けてきたことからも明らかなように、マドンナは2人に勝るとも劣らない最高・最強のエンターテイナーです。

 

 

あっ、音楽的にはダメということではないので誤解なきよう。

あまり歌が上手いとは言われないマドンナですが、少なくとも下手じゃない。

アメリカのエンタメ界では、比べる相手がもうみんなバケモンみたいに上手いですからね…。

とにかく個人的には彼女の歌唱は魅力的だと思います。

 

可愛らしい声質をそのままに、非常にクセがなく素直に歌うのが彼女の特徴です。

「〇〇っぽく」という作為的な部分がまったくと言っていいほど無い。

例えば、ゴスペル的な熱っぽい歌い上げはおそらく彼女自身の根っこに無い。

であるならば曲のアレンジが「そう」であっても、歌唱はそこに流されない、という。

これはじつはなかなかに難しいことではないかと思います。

いい意味で、デビュー前から強く影響を受けていたシンガーがあまりいないのではないかと想像します。

また、クセっぽさ全開でオリジナリティを出す歌手はたくさんいますが、こんなにもクセがないことが個性になっているのはとても興味深い例です。

 

 

もう1つ書いておきたいのが、デビュー当時からシングル曲を12インチレコードでリリースしてきた点です。

7インチドーナツ盤ではなく12インチのEP(エクステンデッド・プレイング)は、シングル盤の音圧で5分6分を超える長尺の曲を収録するためのものでした。(同じ12インチでもアルバムはLP(ロング・プレイング)といってシングル盤より音圧が落ちる)

これはもちろんDJユーズのためで、ここにはマドンナの出自がナイトクラブであることが大いに関わっています。

マドンナの当時の恋人は、その界隈では知らぬ人はいないジェリービーン(Jellybean)というDJで、彼はいわゆるリミックス・ワーク(この場合、クラブでDJがかけやすいような曲調にアレンジしなおすこと)の達人でした。

ジェリービーンはマドンナのファーストアルバムのプロデュースや、諸作のシングル曲のリミックスを手掛けました。

ここから成功の足掛かりを掴んだマドンナ。

彼女の根っこには今もクラブで踊るための音楽があるのでしょう。

 

 

 

かわいい。ファッションも最高っす。

 

この曲で大ブレイク。MVでは途中のリズムのキメにライオンの舌の動きを合わせたのが天才的ですね。w

 

このMVは「スーザンを探して」という映画の映像が使われてます。

マドンナは映画ではだいたいコケちゃうんだけど、「フーズ・ザット・ガール」「ディック・トレイシー」「エビータ」「プリティ・リーグ」…どれも意外と好きです。

 

これも代表曲。MVでは「ヴォーギング」というダンスも話題に。

 

MVは長回し1カット!美しい。

 

UKのブレイクビーツ・ユニット、マッシヴ・アタック(Massive Attack)との共作。美しい。

 

曲もMVも好きなやつ。

 

この曲も大ヒット。何度目かのブレイク。

 

近年。しゅごい。