私の好きなドラマー
4人目は
オラシオ “エル・ネグロ” エルナンデス
(Horacio “El Negro” Hernandez)
です。
3人目までは比較的手数の少ないスタイルのドラマーでしたので、ここらでちょっと趣向を変えてみました。
エル・ネグロはキューバ出身で、アフロ・キューバン・ジャズおよびラテン・ジャズのシーンでは筆頭の超絶ドラマーです。
過去にサンタナ、ミシェル・カミロ、キップ・ハンラハン、ジャック・ブルースなどのバンドで叩いていて、日本では渡辺香津美さんや綾戸智恵さんと共演しています。
そんなエル・ネグロのドラムは、まぁ、ひとことで言って
エグいです。w
元来は個別に演奏するラテンパーカッション(ティンバレス、コンガ、ボンゴ、ウッドブロック、カウベルなど)をドラムセットを用いて1人で行ってしまうのが彼のスタイル。
クラーベを左足で踏みながら、変幻自在のリズムを叩き出します。
いわゆる完全な四肢独立。
今でこそ同じようなことができるドラマーは他にもいますが、彼のドラムを初めて聴いたときは腰抜かしました。
いや、聴いたときじゃないな、見たときですね。
「え!1人でやってんの?コレ!?」って。
さらにはインタープレイ(演奏者同士で触発・反応し合い即興演奏を行うこと)も素晴らしい。
バカテクピアニスト、ミシェル・カミロのバンドなどでは素晴らしいインタープレイの応酬が聴けます。
このテンポ感でこの涼しい顔。どーゆーこと!?
しかもエル・ネグロの打ち出すリズムは非常に柔軟で、ラテン特有のリズム訛りもあります。
このあたり、並のテクニシャン系ドラマーだとスクエアなリズムになって「技術がすごい!」という面ばかりが見えてしまいますが、エル・ネグロのドラムは本当に気持ちよく、ずっと聴いてられます。(私は)
やっぱりリズムが気持ちいいこと、俗に言う「歌っている」ことはすごく重要なんだろうなあ。
そういう意味では手数も多いしスタイルは全然違うけど、私の中で先に挙げたグルーヴ系のドラマーと共通する何かがあるんだと思います。