TRIAL LESSON レッスンを体験しませんか
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クォンタイズ

 

はい、今日もリズム!

 

前回は最後、脱線して終わってしまいましたが、話を元に戻して

「コンピューターに打ち込んだ正確無比なリズムが必ずしも気持ちがいいわけではない」という話のつづきです。

 

今や打ち込みだけでなく、歌ったり演奏したりしたものを録音して、その1音ごとのタイミング(リズム)をパソコン上で動かすことすらできます。

そうして数値上で正確な位置にタイミングを補正することをクォンタイズと言います。このクォンタイズを完全に行うと、人が歌ったリズム、人が叩いたドラムのリズム、弾いたギターのリズム、なんでも機械のように正確なタイミングになります。

ところがこれが、私は全然気持ち良く思えません。クォンタイズする前が多少ヨレたリズムであっても、そっちの方が気持ち良かったりします。

 

そうした比較ができなかった時代は、たとえばビートルズの演奏とかムチャクチャ正確なリズムだと思われていたんじゃないかと思います。でもコンピューターに取り込んで見ると、すごくヨレている。そうやって確かめない限り、正確だと思えたし気持ち良かったのに。一度そうやって目で見て確認しちゃったりすると、ヨレているところが妙に気になりだしちゃったりして

 

ここ20年くらいは、機械のように正確な音楽が増えているという、時代の流れも無視はできませんが。

リズムだけでなく音程も機械のように正確な録音物が溢れています。

そういう音にしか耳馴染みがない世代の方には、人間味のあるリズムは気持ち悪いのでしょうか

 

私は、打ち込みで音楽を作るときも、できるだけリアルタイム入力(メトロノームを聴きながら実際の演奏のように鍵盤を弾いていく入力方法)するようにしています。そしてなるべくクォンタイズをかけません。当然、画面上で見るとタイミングが早かったり遅かったりしますが、聴いて気持ちの良いリズムならそのままにします。

 

そういった非機械的で気持ちの良いリズムを「グルーヴィー」だと表現したりします。

グルーヴ(Groove)という言葉はすごくいろいろな使われ方をしていて、その定義も曖昧ですが、少なくとも無機的でつまらないものではなく、有機的で思わず体が動いてしまうようなワクワクするものだと思っています。

 

ちなみにリアルタイム入力でなく、マウスでポチポチと入力したものをグルーヴさせようとするならば、11音のタイミングは、あえて前後にずらします。

もちろんタイミングだけでなく、音の長さ、強弱、音色などもグルーヴには大事な要素ですが。

 

なんだかまた脱線してきそうですが、結局のところ、良いリズムで歌ったり演奏したりしようとしたとき、機械のような正確さは初めから最後まで目指す必要がない、というのが私の考えです。

 

でも、練習にメトロノームは使いますよ!

要は考え方です。メトロノームを使って練習するとき、自分も機械に近づこう近づこうとするのではなく、メトロノームまでもグルーヴさせるような気持ちの良いリズムを目指す、ということです。

ナチュラルで、聴く人がウットリしたり踊りだしたりしたくなるようなリズムを目指しましょう!

 

ということで、次回はまた拍の感じ方のお話です。

リズム、大事なのでしつこいです。笑

良いリズムって?

はい、今日もリズムのお話です。

 

今回は、良いリズムとはどういうものか、ちょっと考えてみたいと思います。

これはもちろん、人によっていろいろな考え方がありますので、あくまで私の考えということにはなりますが。

結論から言えば、「聴く人の多くが気持ちよく感じるリズム」が良いリズムだと私は思います。

 

趣味で歌ったり演奏したりする以上は、本人が楽しむことこそが重要です。人にとやかく言われる筋合いはありません。ですが、その本人もおそらく良いリズムで演奏したいはずです。しかし演奏している最中は、往々にして客観的に自分の演奏が聴けません。そこで、第三者の聴く人のしかも大多数が、という視点が良いんじゃないかと思うわけです。

 

で、その大多数が「気持ちよく感じる」のが良いリズムだと。

当然、気持ち悪いのは嫌ですよね。気持ちいい方が良い。

では、何をもってして気持ちいいとするのか、これはじつに難しい問題です。

ただ、今のところ私が思うのは、「機械のように正確なリズムが、必ずしも気持ちがいいわけではない」ということです。

 

打ち込みやDTMと言われるコンピューターを使って音楽を作る行為も、もはや完全に市民権を得てなんら珍しくなくなりました。自分では触れたことがない方も多いでしょうが、ちょっと想像してみてください。

こうしたコンピューターで音楽を作るとき、そのリズムを正確無比にすることはいとも容易いことです。DTMのソフトを立ち上げると方眼のマス目が表示され、そのマス目にポチポチと音を置いていくだけで、あとはコンピューターが正確に鳴らしてくれるわけです。

 

さて、こうやって打ち込まれた正確な(機械的な)リズムは、はたして気持ちがいいのでしょうか。これは個人の主観によるものなので一概には言えませんが、少なくとも私は気持ちがいいとは思いません。

 

ちょっと話がそれますが、あまりにも整った規則的なものというのは、ある種の気持ち悪さがあります。

オーケストラの演奏や、シンクロナイズドスイミング、マーチングの行進……。これらはいずれも数人~大勢が一糸乱れぬ演奏や動きをするところに感動があります。しかしながら、やはりそこは11人違う人間が集まってやること。どうしたってごくごくわずかなズレは生じます。あれらはある意味、完全な一致は不可能だという前提のもと、極限まで完全な一致に迫る行為であって、正確にはそこに感動が生まれるのだと思います。

で、本当の意味で整った規則的なもの、その連続ともなれば、有機的な要素が入り込む余地など一切なく、気持ちがいいというのとはむしろ逆ベクトルである可能性があります。

 

話を元に戻しましょう……

て、わわわわ。なんか長くなってきてしまいました。

つづきます。すみません。

裏拍の感覚をつかむ

リズムのお話のつづきです。

 

前回は、頭で理解することと歌ったり演奏したりできることは=(イコール)ではない、というお話と、テンポという音楽的な周期に対して自身の周期的な運動を同期させていく、というお話でした。

 

今回はそれを補う形でもう少しお話ししてみます。

頭でリズムを理解しようとしたとき、次のような図が分かりやすいのではないかと思います。

時計のような円の1周を1拍と考えたときに、1周を1/21/4などに区切ってそれを8分音符や16分音符の発音のタイミングや音の長さだと捉えます。

 

しかし、この図を実際の演奏に活かそうとすると、せいぜいテンポはBPM301分間に30の拍が入る速さ)くらいがいいところで、つまりとっても遅いテンポじゃないとこの図を時計回りに目や指で追いながらリズムを認識していくことなんてムリじゃないですか?

やっぱりこの図は、前回のお話になぞらえると、「理解する」というところどまりにしか活用できません。

 

そこで、「自身の周期的な運動」の出番です。

今回は「歩く」という運動を利用してみましょう。

スペースのあるところで実際に歩く方がより自然で良いのですが、その場足踏みでも構いません。

メトロノームを聴きながら拍に合わせて足踏みします。腕も自然に振って。

テンポはBPM90くらいが良いですかね。遅すぎても速すぎても足踏みしにくいですから、自然なスピードに調節してください。

しばらく続けているうちに、モグラ叩き的でなく、さほどメトロノームの音を意識しなくても自然に足踏みと合っているような状態が作れると良いですね。

 

どうですか?

メトロノームの音が鳴るときに踵が地面に着くとか、いやいや、足の裏がベッタリ着いたタイミングだとか、そんなふうにゴチャゴチャ考えないです。

ご自分の中で自然であればそれで良いです。

 

それが自然になってきたら、今度はメトロノームのテンポを倍にしてみましょう。さっきまでBPM90だったとしたらBPM180ですね。

そしてさっきまでと同じように(同じ歩調で)歩きます。

すると当然、さっきまでと比べ1歩を歩く間に1つ多くメトロノームが鳴りますね。

今度はこれが自然になるまで歩きましょう。

 

自然になったら、再度メトロノームのテンポを元(BPM90)に戻し、最初と同じように歩きます。

そうしたときに、メトロノームを倍で鳴らしていたときの刻みをご自分の中でイメージできたら、この試みは成功です。

 

この、メトロノームを倍で鳴らしたときに、1歩と1歩の間で刻まれる(音が鳴る)タイミングを、俗に「裏拍」と言います

 

今回の試みは、自身の周期的な運動の中に表拍、裏拍それぞれのタイミングをイメージできるようにするためのものです。

頭では「裏拍は、ちょうど円を半周描いたタイミングだ」と分かっていても、そのタイミングを周期的な運動の中に落とし込まなければ、実際に歌ったり演奏したりすることができません。

とくに裏拍は、中級者でも自分の中にしっかりしたタイミングを持っていない人も意外といらっしゃいます。

こんなの簡単じゃん、と侮らずやってみてください。

 

さらに次回へ続きます。すいませーん。

テンポと自身の周期的運動

 

さらにリズムのお話を続けましょう。

 

前回のお話はいかがでしたか?

リズムに苦手意識のある方は、丁寧にやってみてください。

繰り返しになりますが、「声に出さずに、いかに鮮明に心の中(頭の中)で歌えるか」がポイントですので、よく意識するようにしてください。

 

前回の終わりに、グリッドを1/2拍や1/4拍に細かく整備していく、といったことを書きましたが

その前に拍の感じ方のお話をしてみたいと思います。

 

ちょっとがんばれば8分音符や16分音符から成るリズムを頭で理解することはできるはずです。

理解することはとても大事だと思います。

でも理解しているだけではダメですね。

それを歌ったり演奏したり、ようは運動にしていかなければなりません。

 

リズムに関しては、「時間」に対しての運動をしていく、というのがポイントです。

ここで言う時間とは、何分とか何秒とかの絶対的な時間ではありません。

およそ一定に周期する「テンポ」というものに対しての相対的なものです。

 

「周期的な時間に対しての運動」

これが音楽のリズム的側面を言い表しているとすれば、歌ったり演奏したりしようとしているその人自身の周期的な運動を無視するというのはナンセンスです。

リズムが苦手だという人は、およそこの「自身の周期的な運動」を利用せずに、ピタッと止まった(硬直)した状態で歌や演奏に臨んでいることが多いように思います。

 

自身の周期的な運動」とは何か。多くの人にとって自然にそれが見られるのは「歩いているときの腕の振り」などです。

機械で計ったような正確な周期というよりは、もっとナチュラルなサイクル(周期)です。

そういった自身の周期を、音楽の周期、つまりテンポに同期させて(合わせて)いきます。

 

んーーー、なんだか言い方が難しくなってしまいました。

ようするに、テンポに合わせて体を動かしていかないとダメだってことです。

止まっていてはダメですよ!

 

その動きはなるべく自然な動きであることが望ましいですが、中には音楽に合わせて体を動かすということ自体が不自然に思える(感じる)方もいらっしゃるかもしれません。

そういう方は、音楽のリズムに対しての準備ができていない状態です。

音楽を聴きながら歩いたり走ったりして、自身の周期的な運動を音楽の周期(テンポ)に合わせる感覚をつかんでみてください。

 

これをすっ飛ばして、難しい16分音符のシンコペーションとかをやろうとしている人がとってもたくさんいるように思います。

ムリです。はっきり言って。

 

上手な人の中には演奏中にあまり体を動かさない人もいますが、そういう人は今回お話ししているような感覚を身体の中に必ず持っています。それを表に出さずとも感じていられるように練習しただけのことです。

 

この話、次回もう少し続けましょう。

休符を歌う

 

リズムのお話の続きです。

今回も「休符を歌う」ということについて。

こんなリズムがあったとします。

これを歌っていこうとしたとき、音符のタイミングだけを狙い撃ちしようとする方がいらっしゃいます。

イメージ的にはこんな感じでしょうか。

これを私は「モグラ叩き的」と言っています。

この感覚ではリズミカルな演奏をするのは、なかなか難しいと思います。

 

では、どうするか。

この場合はすべての休符をいったん音符にして考えます。

そうすると、「ターターターター、ターターターター」となり、

それをテンポを崩さずに歌うことは比較的イージーだと思います。

 

次にそれを、実際には声に出さずに、心の中(頭の中)で同じように歌ってみてください。

声に出さずに、いかに鮮明に心の中(頭の中)で歌えるかがポイントです。

どうですか?

それができたら、声を出して歌うことと心の中(頭の中)で歌うことを交互に繰り返してください。

 

さらに、テンポをキープして1小節(4拍)ずつ、声に出すのと心の中とを交互に繰り返します。

外には音を出さないけど自分の中では鳴っている状態と、実際に発音している状態とを、1つの線上で切り替えるようなイメージです。

 

これをしばらくやった後、最初のリズムを歌ってみましょう。

お分かりだと思いますが、休符のところを心の中(頭の中)で歌うわけですね。

どうでしょうか?

 

こうやって歌うことで、モグラ叩き的な感覚ではなく、「自分の中にずっとテンポがキープされていて、そのときどきで音を出すか出さないかをチョイスするような感覚」になってくると思います。

 

ちなみにこれは1拍ずつのグリッドを自分の中に整備するということです。

歌いたい(演奏したい)フレーズや曲調に合わせて、このグリッドを1/2拍や1/4拍に整備していく、というのがその先のお話です。

まずは1拍から、確実にこの感覚を掴んでみてください。