良い演奏をするための技術的要素を4つ挙げ、優先順位をつけてみました。
1. リズムが良い
2. 表情が豊か
3. 音程が良い
4. 間違えない
私はこのように並べてみたわけですが、今回は2番目の「表情が豊か」について。
表情が豊か
表情が乏しいことが「ある種の魅力」に繋がっている場合を除き、表情が豊かであった方が良いというのは多方の同意するところだと思います。
ここでは表情が豊かであることと、リズム、音程、間違えないこと、それぞれの重要性とのバランスを考えてみましょう。
「機械のように正確」とは音楽に限らずいろいろな場面で使われる表現ですが、こと音楽においてはそれは必ずしも褒め言葉とは限りません。
この表現には、「機械のように正確であるとともに、機械のように無表情で無機質である」という含みがあるように感じてしまうのは私だけではないでしょう。
正確なリズム、正確な音程、もちろん間違えるはずなどない。しかし、のっぺりと、淡々としている演奏。
ちょっと想像してみてください。
どうですか?
「あえて無表情」ということでもなければ、面白みのない、魅力を感じにくい演奏になってしまうのでは…。
逆に、いわゆる「味がある演奏」というのは、ともするとリズムや音程は頼りなくヨレていたりもします。
間違えないように!という緊張感もあまり感じることがない場合もあり、下手したら間違えてしまう。笑
でも、そういった、まぁネガティブと言えなくもない要素を補って余りある魅力がある、そんな味のあるシンガーや演奏者が、あなたの記憶の中にもいるんじゃないでしょうか。
もちろん、「味系」でなく正統派で、圧倒的な表現力を持つ、そんなシンガーや演奏者もたくさんいますけれど。
そんなわけで「表情が豊かである」ということは、やはりかなり重要な要素だと私は思いますと。
ちょっと余談ですが、いわゆる打ち込み(コンピューターで音楽を作る)をしてみると、正確なリズム、正確な音程でコンピューターに演奏させることは、ものすごく簡単なことに思えるでしょう。
ですが表情豊かな演奏にするとなると、これはかなり骨が折れる作業だったりします。
表情豊かな演奏は、人間の得意分野とも言えるのです。
さて、歌でも楽器でも、なんらかの曲を練習していくにあたり、「表情を付けていくのは、曲が形になった後」という考えの方もいらっしゃるでしょう。
ですが私は、そうやって後からお化粧のように表情を付け足すよりも、リズム、メロディ、ハーモニー、歌詞などに紐づいた表情を初めからイメージしていくのが良いと思っています。
そういった意思の表れとして、2番目に「表情が豊か」をもってきたわけです。