前回のつづきです。
往々にして「こんな曲が演奏できたらカッコイイ!」と思うような曲を元のテンポで演奏することは、初心者にとっては相当キビシイでしょう。
残酷なようですが。
でも、だから諦めましょう、という話ではないですよ。誤解なきよう。
どうにかしていこうという話です。
次の音までの猶予。
たとえば、米津玄師さんのLemonはBPM=87で、これは4分音符が1分間に87個入るテンポということです。で、この曲のメロディには16分音符がたくさん出てきますので、その部分で言えば、次の音までの猶予は0.17秒ほどとなります。
これ……その間に次の音を正確に認識して確実に運動すること、はっきり言ってムリですよね。
こうなると、正確に認識することと確実な運動は度外視するほかなく、
やり方としては、けっきょく
「しのごの言わず繰り返せ!何べんも何べんも繰り返して体に染み込ますんや!」
となるわけです。
いや、むしろ楽器の練習と言えば、このやり方以外に何があるの?と思う人の方が多いかもしれません。
このやり方自体を全否定しているわけではありませんが、強靭な根気と膨大な時間が必要になってきますので、大人の方が趣味に使える時間内で、と考えるとどうも効率が良いとは思えません。
何より大人には考える力があります。これを活かさない手はありません。
ではどうしていくか。
前回お話ししたように、いったんテンポをグッと落として猶予を増やし、「余裕を持って判断や運動ができる」ようにします。
もちろん練習するのに適切な速さ(早さ)には個人差があります。
Lemonはテンポを半分(BPM=43.5)にしても16分音符の長さは0.34秒ですので、多くの初心者にとってはまだ速いと思います。
いったん曲を変えてみましょうか。
Lemonのように16分音符が基本となっている曲ではなく、4分音符が基本となっている曲に。
上を向いて歩こう、星に願いを、ダニーボーイ、ラブ・ミー・テンダーなど。
どうしてもちょっと古い曲にはなってしまいますが…。
この場合、テンポがBPM=60だとすれば、次の音までの猶予は1秒となります。
1秒あると、先に挙げた0.17秒とは違い、ほんの少しでも「考える」ことができるのではないでしょうか。
まだ速ければ、さらにテンポを落としてみてください。上記の曲であれば、BPM=40くらいでも、なんとか元のメロディをイメージできるんじゃないかと思います。ちなみにBPM=40の場合、猶予は1.5秒ですね。
なんだかまどろっこしい話になってきたと思ってませんか?w
こんな話はダルいわ~~、と思ったらどうぞ、何べんも何べんも繰り返して体に染み込ませてください。
いずれにしても、今できないことをできるようにしようとすれば、何かしらがんばらなきゃならないわけです。
なるべく効率よくスムーズに、そして楽しく、と考えて書いていますので、よろしければ引き続き読んでくださると嬉しいです。
つづく。