アナログシンセサイザー(以下シンセ)は特定の役割を持ったいくつかのセクションが集まってできています。
セクションごとの簡単なご説明その4と、まとめです。
オシレーター、フィルター、アンプ(エンベロープ)と来まして、
最後は
LFO
です。
おそらくシンセに慣れていらっしゃらない方にとっては、こいつがもっとも分かりにくいのでは?
でも要点を押さえていけばさほど難解でもありません。
LFOこそがシンセの最もシンセらしい部分でもあるので、ぜひ使いこなしてくださいね。
LFOとはLow Frequency Oscillatorの略です。
言葉は難しいですが、ようは音に対して時間的な変化を加えるセクションです。
前回のアンプセクションでお話したアンプ・エンベロープやフィルター・エンベロープも時間的な変化と言えますが、それらが発音(鍵盤を押すタイミングや放すタイミング)に付随したものだったのに対し、
LFOの変化は周期的なものです。
・LFOを何に適応するか
LFOは音程や音量、音色、定位(※1)といった要素を周期的に変化させることができるわけですが、何を変化させるかは、LFOを何に対して適応させていくかによって定めていきます。
音程(※2)ならオシレーター内のPITCHに、音量ならアンプに、音色ならフィルターのCUT OFFに…といった具合にLFOをかけて(適応させて)いきます。LFOを何にアサインするか、という言い方もします。
※1 音の配置。ステレオ再生したとき、左右や前後(奥行き)のどのあたりで聴こえるか。ここでは左右のみの定位ですね。
※2 正確には音程とは「ある音とある音の音高の差」を指した言葉で、今回のような場合には音高(PITCH)と言うべきですが、おそらく音程と言った方が伝わりやすいためそうしています。
何を変化させたいか、に準じてLFOをアサインしたら、次はどのように変化させるかを決めていきます。
ひとくちに変化と言ってもいろいろですが、ここではそれを「周期」「変化の形」「変化の深さ」といった要素で定めていきます。
・RATE / SPEED
このパラメーターで変化する周期の速さを調節します。
ソフトシンセなどでは「SYNC」と言って、楽曲のテンポに則した周期の速さを8分音符や1拍3連符といった音符の長さで設定することも可能です。
・WAVE
このパラメーターで変化の形を選びます。
サイン波、三角波、ノコギリ波、矩形波、それぞれの波の形に沿って変化していきます。
・DEPTH / AMOUNT
このパラメーターで変化がかかる度合い(深さ)を調節します。
いかがですか?
文章を読むだけだとやっぱりややこしいと感じるかと思いますので、やはり実際にシンセを触りながら確認していただけるといいと思います。
何(どの要素)を変化させたいか、それによってLFOをどこにかけて(適応させて)いくか。
このあたりの概念が分かってくると、じつにいろんな音色を作っていくことができると思います。
まとめ
さて、4回にわたって書いてきましたが、シンセを構成する主なセクションはこんなところです。
各セクションは下の図のようなイメージで繋がっています。
オシレーターで元の音色を選び→フィルターで音色を加工して→アンプエンベロープで発音のときの音量変化を設定して→LFOで各セクションに周期的な変化を加える。
他にはコーラスとかディレイみたいないわゆるエフェクトを内臓しているものもありますが、それはここでは省略しちゃいます。
う〜〜ん。
なるべく分かりやすくと思って書きましたが、ぶっちゃけ難しいですよね。爆
でもシンセは面白いですよ!
ハマった人はみな時間を忘れて弄ってしまう。そんな中で偶然生まれた音からインスパイアされて曲ができることもあります。
一方、頭の中に作りたい曲のイメージがある場合などは、0からシンセのパラメーターを弄って音を作っていくよりプリセットから音色を選んだ方が効率的なこともあるでしょう。
プリセットの音をそのまま使うことに賛否はあると思いますが、それは作りたい音楽が何に重きを置いているかによって変わってくるところだと思います。
個人的には、今はプリセットを使うことも多いですが、プリセットを使わずサウンドを作ることに拘っていた時期もあります。
ただ、プリセットを選んだとしても、この連載でお話ししたシンセの基本的な仕組みが分かっていると、そこからより自分が求めているサウンドに微調整していくことも可能です。
ぜひ一歩踏み込んでシンセを使いこなしてみてください!