今回はアコギについてもうちょっと掘り下げてみます。
ボディの正面(上面?)の板を見てみましょう。
フラットトップと呼ばれる平らなものが一般的ですが、アーチトップと言ってヴァイオリンやチェロのように曲面になっているタイプもあります。
通常、フラットトップのギターには真ん中に丸く大きなサウンドホールが、アーチトップのギターにはやはりヴァイオリンやチェロのような「fホール」が空いています。
フラットトップ
アーチトップ
ギターの製作には、なるべく豊かな響き、大きな音量が求められました。
後にエレクトリックギターが生まれるのと同じ理由です。他の楽器に負けない音量が求められたんですね。
C.F.マーティン社(以下マーティン)の作ったフラットトップのギターは、それまでのギターよりもメチャクチャデカい音が鳴るものでした。
以来、アコースティックギターと言えばフラットトップの楽器が一般的になりました。
今でも数は少ないですが、アーチトップのアコギはあります。「ピックギター」と呼ばれたりしています。また、アーチトップは、ギブソン社に代表されるエレクトリックギターにその見た目や技術が引き継がれています。
他に変わったところだと、リゾネーターという大きな反響板を付けた「リゾネーターギター」というものもあり、ドブロ社のギターなどがその代表です。
ブルースやハワイアン、ブルーグラスなどの演奏者が、リゾネーターの独特な響きを好んでこの楽器を使います。奏法としてはスライド奏法で演奏されることが多いですね。
では、こんにちもっともポピュラーなフラットトップのアコギについて、さらに見ていきましょう。
前述のマーティンはムチャクチャ歴史も古く、誰がなんと言おうと、アコースティックギターのトップブランドです。
今あるアコギのほとんどは、マーティンのギターをモデルにしています。
小さなボディで取り回しのいい0(シングルオー)シリーズ、やや小ぶりでボディのくびれが大きい000(トリプルオー)シリーズ、ボディが大きくその分音量も大きいD(ドレッドノート)シリーズなど、求められる音量によってボディの大きさにいくつか種類があります。
D-28
材料の木は、
トップ板:スプルース
サイドとバック板:マホガニーやローズウッド
ネック:ローズウッド
指板:エボニー
といったあたりが一般的ですが、本家マーティンですべてがこの仕様だと、お値段もそれなりに…。
他社の楽器も含め、もう少し安い価格帯のものだと、合板が使われていたりします。
もちろん響きの違いに関わってきますが、最初はあまり気にしなくてもいいと思います。
色で言うと、圧倒的にスプルースの木目を活かしたナチュラル仕上げが多いですね。
さて、マーティンの対抗馬としては、やはりギブソン社が筆頭でしょう。
エレキギターでは高い人気を誇るギブソンですが、ギターが「電化」する前からすでにギターメーカーとして地位を築いています。
現在に至るまで、多くのメーカーがマーティンのコピーモデルを作る中、ギブソンはそのオリジナリティを貫いています。(ボディトップはマーティンの影響でフラットになりましたが。)
小ぶりなLシリーズ、スタンダードなサイズで丸みのあるフォルムのJシリーズ、かなり大きめのボディにして音量も大きいSJシリーズのほか、ハミングバードやダヴなどがそのラインナップです。
ハミングバード
高級なモデルになると、マーティンのギターに比べ、装飾が若干華美になっています。
ギブソン社のギターでは、中心から外側にかけて色が濃くなっていくサンバーストという仕上げが多い気がします。
どちらかと言うと、マーティンのギターは繊細、綺麗で優等生なイメージ、ギブソンのギターは無骨でパワフルなイメージを個人的には持っています。
もちろん、弾き方による違いがもっとも大きいですけれど。
つづく