ひさしぶりにサックスについて書いてみます。
サックスの音色は、歌声が十人十色なように、じつにいろいろです。
「こうでないといけない」ということもないので、ご自分の出す音を本人が気に入りさえすれば何の問題もないのですが、やはり各々に理想というのはありますね。
そんなこんなでよく、「もっと良い音で吹きたいんですけど、どうしたら良いですか?」と聞かれますので、今回はこのことについて。
まず、具体的に何をどうする、という話の前に2つのことを確認しておきましょう。
1つは、理想とする音のイメージがはっきりとあるかどうか。
もう1つは、今の自分の出している音を客観的に聴けているかどうか。
です。
地図で言えば、目的地と現在地が分かっているかどうか、ということですね。
実際に地図を活用して道筋を知ろうとするならば、目的地と現在地が分からないことにはどうにもならないのは明白です。
しかし「自分のサックスの音を良い音にしていく」ということになると、意外にも目的地と現在地が認識できていないままに闇雲に進もうとする方が多いような気がします。
理想とする、カッコイイ!こんなふうに演奏したい!というプレイヤーの音色をはっきりイメージできるようにすること。
これはもちろん好みの話なので、なんだってOKです。
とくにポップスやジャズ系のプレイヤーは人によってかなりスタイルが違うので、その音色にも幅があります。
漠然と良い音、上手く聴こえる音、ではなくもう少し明確な音のイメージがあるといいと思います。
もちろん誰かを目標にするのではなく、初めから誰にも似ない独自の音色を狙ってもいいでしょうけど、往々にしてまずは真似することからスタートすると良い、というのはサックスに限ったことじゃありませんよね。
はい、そしてそれ(理想・目的地)に対し、自分の今の音がどうであるかが客観的に聴けること。
自分の演奏を録音して聴くということを、「こんな拙い演奏聴きたくない」と、したがらない人もいますが、それでは何をどうしていったらいいか、まったく分からないままです。
レッスンを受けると先生がそれを言って導いてくれるワケですが、けっきょくのところ自分で思えて(認識できて)いないことに対しては、働きかけ自体もその効果もかなり鈍くなってしまうのではないでしょうか。