音楽のジャンル、ロック編。
今回は
パンクロック
です。
パンクの登場は、ロック史の中ではとても大きな出来事と言ってもいいでしょう。
50年代に産声をあげたロックはその後20年ほどを経て、大きく発展しました。
発展すること自体は悪いことではないはずですが…。
音楽は複雑・高度になり、機材やライブの規模は大きくなり、ロックミュージシャンはヒーローになりました。
そういった要素がしだいに飽和してきて弾けそうなくらいパンパンになったとき…
そこにプスッと針で穴を開ける存在としてパンクロックは登場します。
アンチテーゼというやつですね。
パンクロックはそれまでロックが積み上げてきたものを「ぜんぶ壊してしまえ!」というロックでした。
それは時代を戻そうとするのではなく、最新の形としてロックの源流に立ち返るムーブメントだったのかもしれません。
60年代終わりのニューヨークにはすでに、
ルー・リードのヴェルヴェット・アンダー・グラウンド(The Velvet Underground)
イギー・ポップ率いるストゥージズ(The Stooges)
MC5
ニューヨーク・ドールズ(New York Dolls)
など、尖った音と活動をしていた(今ではプロトパンクと言われる)バンドがいくつかありました。
70年代に入るとそれらの影響を受け、もはや形式的になったロックに反抗するようなアティチュードを持ったバンドが現れます。
パンクのオリジネーターと言ってもいい
テレヴィジョン(Television)
のちに大きな影響を与えたパンクロックの最重要バンド
ラモーンズ(Ramones)
「クイーン・オブ・パンク」パティ・スミス率いるパティ・スミス・グループ(Patti Smith Group)
パンクの枠からはみ出す音楽性を秘めたトーキング・ヘッズ(Talking Heads)
元ニューヨーク・ドールズのジョニー・サンダース率いるハートブレイカーズ(The Heartbreakers)
そして元テレヴィジョン、元ハートブレイカーズのリチャード・ヘルのバンド
などです。
彼らの演奏は大胆で過激で緊張感があり、また初期衝動に溢れたものでした。
シンプルな編成、シンプルなコード、シンプルな演奏、疾走するビート…。
彼らはマンハッタンにある「CBGB」というクラブをベースにしており、同所はパンク発祥の地とも言われています。
ここを中心に活動した数々のパンクバンドはのちに「ニューヨークパンク」と呼ばれるようになります。
ポストパンク
しばらくするとニューヨークパンクから、シンセサイザーなどを取り入れたポップかつ実験的な「ニューウェイヴ」が派生します。
しかしその実はなんでもありで、パンクの影響を残しながらも音楽性の幅はかなり広く、なおかつ絶妙にポップであることが特徴と言えば特徴。
ニューウェイヴ色の強いバンドには、既出のトーキング・ヘッズや、デボラ・ハリーを擁するブロンディ(Blondie)などがあります。
また、より前衛的で主にアンダーグラウンドで活動した、DNAやコントーションズ(The Contortions)といったバンドはニューウェイヴに対し「ノーウェイヴ」と呼ばれました。
さて、このあたりずっとニューヨークの話ですが、それまで革新的なロックを次々に生んできたイギリスではどうだったのでしょうか。
ちょっと時が前後しますが、ニューヨークパンクがにわかに活気づいてきたころ、イギリスでも1つのパンクバンドが登場します。
つづく