
私的名曲選、2曲目は
「(They Long To Be) Close To You」
です。
今回も超王道です!
カーペンターズの代表曲
として広く知られていますが、最初の録音は1963年に俳優のリチャード・チェンバレンによって行われました。
その後、ディオンヌ・ワーウィック、ダスティー・スプリングフィールドらがカバー。
カーペンターズによるリリースは1970年ですので、しばらく経っているんですね。
さらに1970年にはダイアナ・ロスやB・J・トーマスが、1971年にはフランク・シナトラがカバー。
以降は数え切れないほどのアーティストがカバーしている、名曲中の名曲です。
「遥かなる影」という邦題が付けられています。
作曲は私の敬愛するバート・バカラック。
作詞はバカラックの盟友、ハル・デヴィッド。
この曲のなんとも言えないフワフワした感じ、ステキじゃないですか?
これは、おそらくはキー(調)の曖昧さから来ていると思います。
カーペンターズ・バージョンで言えば、キーがCメジャーかGメジャーかどっちつかずになっているんですね。
けっきょくはGメジャーキーだということになるのですが、歌い出しからしばらくはメロディ的にもハーモニー(コード進行)的にもCメジャーでもおかしくない雰囲気なんです。
理論的にはサブドミナントというやつからスタートしているこの技法、今や別段めずらしくもないのですが、ここまで効果的なのはなかなか聴けません。
さすがはバカラック大先生!
Aメロのフワフワした感じから一転、サビではリズミカルに。
メロディは音域の高いところで同じ音高の音を続けて歌うことで、テンションが高まっていきます。
歌詞で言うと「〜in your eyes of blue」の「blue」でポーーンと緊張が弾けて、例のポロロン、ポロロン…。
そしてまたAメロにつながるという、この一連の流れもあらためて聴くと本当に素晴らしい。
さらには、この曲には後奏(アウトロ)があるんですよね。
これがまたステキで心憎い。
「Wah〜ahhhh〜 Close to you〜」と繰り返されるだけのシンプルなセクションですが、絶対に外せない。
私はここがあるからこの曲が好きだと言ってもいい。
この後奏、おそらくはカーペンターズ・バージョンからだと思うのですが、もしかするとバカラックではなく、アレンジ(編曲)をしたリチャードによるものかもしれません。
(バカラック・バージョンでもこれとは違う3小節でくり返されるステキな後奏がついています。)
歌詞は、「あなたのそばにいたい」ということをポエムのように表現した内容。
「あなた」の存在を神秘的に歌う「あなた賛歌」です。
個人的には、含みのないストレートな歌詞だと思っていますが、「Love you」ではなく「Close to you」と歌うところが好き。
たくさんのカバーがありますが、私はやっぱりカーペンターズ・バージョンが好きかな。
カレンの歌声は言わずもがな、歌詞、メロディ、ハーモニーを際立たせるリチャードのアレンジが素晴らしい。
ただただふんわりもしかねない曲ですが、カーペンターズ・バージョンはシャッフルリズムになっており、カレンのドラムとベースがしっかりリズムのボトムを作っていて「ノリ」が出ています。
ストリングスやコーラスも歌詞の世界観を想起させるように美しい。
う〜〜ん、名曲!
最初の録音は俳優のリチャード・チェンバレン。
ディオンヌ・ワーウィックはバート・バカラック&ハル・デヴィッドのコンビによる曲をよく歌いました。その中の一曲。
バカラック大先生自身のバージョン。いちおうご本人が歌っています。
カーペンターズ以降のカバーは完全にカーペンターズ・バージョンが下敷きですね。
シナトラの譜割はさすがっすな。