私的名曲選、基本的には順不同で、思いついた曲を順次取り上げていこうと思いますが、1曲目はさすがにちょっと考えました。
で、選んだのは
「ALONE AGAIN (Naturally)」
です!
予告どおりベタです。w
最強にベタと言っていい、名曲中の名曲だと私は思っています。
ALONE AGAINは、アイルランド出身のシンガーソングライター、ギルバート・オサリバン(Gilbert O’Sullivan)による1972年リリースの曲で、アメリカ、イギリス、日本…世界中で大ヒットしました。
曲名やアーティスト名を知らずとも、ほとんどの方が耳にしたことがある曲でしょう。
かく言う私もオサリバンについては、ベスト盤で聴きかじっているぐらいでして…不勉強ですみません。
まぎれもなく70年代に一世を風靡した偉大なアーティストではあるのですが。
ともあれ今回はギルバート・オサリバンではなく、あくまで名曲ALONE AGAINについてですので、ファンの方々はどうぞご容赦を。
さてこの名曲、おそらくはピアノで書かれたソフトロック路線の曲で、
とにもかくにもメロディが素晴らしい。
そのじつ、ハーモニー(コード進行)的には非常に凝った作りになっており、細かい転調の嵐、同主調からのコード召喚、クリシェ、オルタードテンションと、ハーモニー技法のオンパレード。
だのに!
聴くとメロディと相まって、引っかかりのない流れるようなハーモニーになって聴こえます。
まさにナチュラリー!
アメージング!
私の大好物である、「シンプルに聴こえて含み(深み)がある楽曲」の最たる例です。
オサリバンは専門教育を受けず独学でピアノや作曲を行ったそうで、それでいてこのハーモニーの洗練さとはこれいかに?
今でこそ情報も多く早熟なアーティストは珍しくないですが、60年代にこれを21歳で作ったとか?
すごいんですけど…。
さまざまな技法が作為的に聴こえずじつにナチュラリーなのも、いわゆる「お勉強」から作られたものではないからかもしれません。
はっきり言ってジェラシーです。
さらにこの曲は構成も面白く、Aメロ〜Bメロ、もしくはヒラ歌〜サビ(ヴァース〜コーラス)といった区分けがありません。
必然のように次から次へとメロディが紡がれ、ワンセクションが16小節の大きなひと塊になっています。
これをワンコーラス(1番)ととらえるのが妥当でしょうが、そうなると今度はワンコーラスとしては非常にコンパクト、ということになる。
まるで童謡のような作りです。
う〜〜ん、ステキだわ。
そして1番、2番と歌ったのち、いわゆる大サビと言われるようなセクションが一度だけ出てきます。
ここへの転調も素晴らしい。
しかしこの当時、曲の後半に大サビを持ってくるという作りはかなり珍しかったのでは?
このセクションがあると無いとでは、曲の完成度もまったく変わってきたでしょう。
歌詞は意外にも?自殺をほのめかしたり両親との死別を語ったりして、「けっきょくは一人ぼっち」だと呟くような、ちょっと寂しい内容。
個人的には、ありきたりなラブソングじゃないところも好きなポイントです。
ところで名曲というと、のちにさまざまなアーティストにカバーされるのは当然の流れ。
ある意味そうしたカバーが、名曲を名曲たらしめているとも言えます。
中には、たくさんのカバーによって曲が一人歩きしている、つまりオリジナルがどれだか分からなくなっているようなものもありますが、
ALONE AGAINはオサリバンのオリジナルしか思い出せないと言ってもいいくらいでは。
それくらいに、オサリバンの歌声にしても素朴なアレンジにしても「これでなきゃ感」があります。
これぞ名曲。
…って長っ!
この文量では息切れしそうなので、次からはもっと要約しなきゃ。