前回からのつづき
このコラムでご紹介してきた考え方や方法は、私が身をもって実践してきたことのうち、効果があると確信が持てたものです。
趣味の音楽レッスンは、どうしても表面をなぞるだけの、もしくは歌や演奏の運動としての部分にばかりフォーカスしがちで、ベーシックな音楽力を身につけることに関して、後回し、ともすれば無視して行われてしまいます。
ベーシックな音楽力とは、例えば何か球技でもやろうと思った時の「筋力」や「瞬発力」や「持久力」や「バランス感覚」などです。サッカーにしましょうか。どれだけ正確にボールが蹴れたとしても、ゲームが始まって3分で疲れて動けなくなってしまっては十分に楽しめませんよね。
この音楽力はとてもベーシックなものですので、歌でも、ピアノでも、ギターでも、サックスでも何をやろうとしたときでも、それを楽しむためのしっかりした土台になります。一度この土台が固まれば、いろいろな楽器を演奏することも容易になります。
幼少の頃から楽器を習っていたわけでも、特別な音感を持っていたわけでもなかった私は、自分には何が必要なのか、そのためには何をすれば良いのか、ずっと探してきました。中には、これじゃダメだろう、と思えるような考え方や方法もあり、それらを取捨選択して自分なりに体系だてました。それが確立して、そのことを意識し、練習をしたら、それまでが何だったんだろうと思うくらいに音楽の景色が変わりました。音楽と仲良くなってきている、と実感できました。
試行錯誤の時間というのは決して無駄ではありません。それは自分にとってもそうだったと思っています。
しかし、「音楽は楽譜どおり間違えずに」という狭いマナー、「上手くならなきゃいけない」という刷り込まれた観念、気になる「他人の目、周囲の評価」……。そういったものを払拭して、音楽を楽しむための力を身につける、そのために何が必要かを見定めるには長い時間を要します。すごく頭の良い人なら、すぐ見つけられるのかもしれませんが、私には長い時間が必要でした。
スクールではそれを、何のためにこういったことをやっていくのか、しっかり理解していただいたうえで、効率よく身につけられるようなレッスンを実施していきます。
さて、1ヶ月をかけて書いてきたこのコラムですが、今回でいったん終わりになります。
なにやら面倒くさそうな堅い内容になってしまい、反省もありますが、とにかく読んでくださったみなさま、ありがとうございました。
すべて読んでいただいた方には、私個人からお礼の粗品をお送りさせていただきます。
今後このブログでは、ちょっとしたコラムはもちろん、オススメのレコードやミュージシャンについて、スクールやレッスンの模様など、いろいろなテーマで投稿していきます。
ここまでに、キーについてなど「のちに説明します」と注釈を入れていたことも、ちゃんと忘れずに書いていきますね。
ひきつづき、どうぞよろしくお願いします!