さて時系列的にはぼちぼちハードロックに入っていくわけですが、今回はその前にもう1つだけ。
それは
ソフトロック
です。
ハードの真逆のソフトです。
読んで字のごとく、柔らかく優しい雰囲気を持ち、メロディアスで美しいハーモニー(コード進行)が特徴です。
ハードロックに比べると馴染みのないジャンルかもしれませんが、素晴らしいアーティストや作品が多く、誰しもが耳にしたことがあるような曲にもソフトロックと呼ばれるものがたくさんあります。
一般的に知られていてイメージしやすいのはカーペンターズかな、と思います。
カーペンターズをソフトロックだと一括りにして良いかどうかちょっと躊躇するところですが、カーペンターズの代表曲を手がけたポール・ウィリアムス、バート・バカラック、ロジャー・ニコルズといった面々は、やはりソフトロック調の作品作りを得意としています。
1970年代後半にディスコヒットを飛ばしたビージーズ(Bee Gees)も60年代にはソフトロック路線でした。
他には、ブレッド(Bread)、バーズ(The Byrds)、ゾンビーズといった、USもしくはUKのバンド。
そしてソロのアーティストとしてはエルトン・ジョンや、はたまたキャロル・キングなどもソフトロックだとすることもあるようです。
ただ、前述のバンドしかり、このころはサイケデリック以外にも様々な要素(影響)があり、ひとくくりにするのは若干乱暴な気がします。
しかしながらこの時期、歪んだギターでブルージーなフレーズを轟かせ、大音量でアンサンブルするハードロックが芽生える一方で、こういったソフトなアプローチに向かう流れも確実にあったと。
おっと忘れてはいけない!
順番が前後するようですが、これらソフトロック作品に大きな影響を与えたのが、かのザ・ビーチ・ボーイズです。
サーフロックのイメージが強いビーチ・ボーイズですが、60年代後半には名盤「ペット・サウンズ」をはじめとする非常に美しいロックを展開しました。
これらの作品は、日本でも大瀧詠一さんや山下達郎さんなど、多くのアーティストに影響を与えました。
あっ、ついでにサーフロックってのも出て来ちゃいましたね。
60年代のそれはリヴァーブの効いたエレキギターをフィーチャーした軽快なロック…ですが、サーフィンカルチャーを反映させた、どちらかというとイメージ先行のサブジャンルと言えるかと。
ビーチ・ボーイズの他には、「ミザルー」が有名なディック・デイルや、ベンチャーズなどがその代表です。
その後はパンクバンドやハードコアバンドがサーフィンのBGMであった時期もありましたが、近年は自身もサーファーであるジャック・ジョンソンやドノヴァン・フランケンレイターらのナチュラルでリラックスしたサウンドがサーフミュージックとして定着してきました。
話をソフトロックに戻しましょう。
ソフトロック路線の曲は今現在もたくさん作られ演奏されています。
とくに日本では多いんじゃないかな。
ハードロックに分類されないような日本のロックバンドの大半はソフトロックなんじゃないかと思ったり思わなかったり。
ソフトロックの流れは、そのままAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)などに繋がっていきます。
AORについてはのちのち……。