みなさんはロックと聞くとどんな音楽をイメージしますか?
ロックンロール?ロカビリー?ヘビメタ?パンク?
日本では、BOØWY、X JAPAN、B’z……このあたりはロックと言っても異論は少ないでしょう。
そういう分かりやすくロックなアーティスト(バンド)や作品はいいとして、たとえば私の好きな山下達郎さんはロックなのか。
Mr.Childrenやスピッツあたりはどうですかね?
米津玄師さんは?
どうでしょうか。
ちなみに…個人的には上記アーティスト(バンド)はすべてロックだと思っています。
まぁこれは実際にロックかどうか、またどのサブジャンルに括られるのかは大した問題じゃないように思います。
それよりもここで注目したいのは、ロックという言葉が持つ多様性です。
すごく幅が広い。
その多様性ゆえ、曖昧さも有するわけですが。
今日、わりと限定的なイメージを持つようになってきているロックンロールから、ロールが取れて「ロック」と言うようになったとき、どのようにしてこの懐の広さ=多様性を持つようになったのでしょうか。
これを考えたとき、どうしても外せないのが…
ビートルズ
でしょうね。やっぱり。
もともとビートルズのメンバーは、エルヴィス・プレスリーやバディ・ホリーのようなロックンロールに熱を上げたイギリスの若者でした。
しかし彼らは1962年にデビューすると、解散までの10年足らずでその音楽性をムチャクチャ広げました。
その過程でじつにさまざまな音楽を吸収し、あらゆる手法を試し、新たな音楽を生み出します。
テーマ、歌詞、メロディー、コード進行、テンポ、リズム、アレンジ、楽器、録音……
今でこそ「〇〇というバンドは音楽性の幅が広いね~」なんて言ったりしますけど、ビートルズがデビューするより前は、いやビートルズ以降だって、普通はひとつのバンドにはやっぱりそのバンドのカラーがあって、それは作品(曲やアルバム)ごとに少しずつ変化はしても基本は変わらない。
ところがビートルズは言うならば虹色。
ビックリマンシールで言えばキラキラのやつ。w
で、ビートルズはやっぱりロックバンドだと思うんですよね。
だけどビートルズをロックバンドだとしたときに、ロックを定義づけしづらくなってくる。
それほどにビートルズは多様な音楽性を持ったバンドでした。
逆に言えば、そのビートルズの音楽性の幅広さが、そのままロックという言葉の持つ多様性に繋がっている、と言ってもいいんじゃないかと思ったり思わなかったりするわけで。
そしてビートルズ以降は、〇〇ロックという具合にサブジャンルが生まれ細分化が進みます。
もちろんロックの音楽性が広がり深まったのは、すべてがビートルズだけの功績ではないことは言うまでもありません。
そもそもイギリスには、アメリカのジャグバンドにも似た、DIYで作った楽器を用いてブルースやフォークをごちゃ混ぜに演奏するスキッフルというシーンがありました。
ビートルズのメンバーはこのスキッフルから出発しているんですね。
ですから、工夫して様々な音楽を生み出していく素地はこのあたりにもありそうです。
こうしてイギリス各地で起こった音楽が、ある意味逆輸入される形でアメリカで流行したことをブリティッシュ・インヴェイションと言ったりしています。
ビートルズの他に、ローリング・ストーンズ、アニマルズ、キンクス、ザ・フーといったたくさんのバンドがアメリカでも人気を博しました。
ちなみに、当時のビートルズのようなサウンドはマージービートと呼ばれています。
アメリカに目を向ければ、
エヴァリー・ブラザーズの美しいハーモニー、ベンチャーズの革新的な演奏、そしてフォークからロックにアプローチしたボブ・ディランやサイモン&ガーファンクル、さらにモータウン勢…
他にもたくさんの素晴らしい才能が、この時代にロックの可能性を追求しました。
がんばってつづきます。