前回からのつづき
もちろんファ♯だけでなく、ド♯でもミ♭でも、いずれも歌うには1つの音に対して文字数(発音数)が多すぎて無理があります。
一方、小さい頃からピアノをやっているような人たちは、例えばファの半音上を歌うとき、ファと言いながらもファの半音上の高さで歌っています。
名前を変えずに、頭の中で処理して音の高さを上げ下げしているんですね。
これも、ちゃんと各音程を歌える前提で、もうずっとそうしてきている人にとっては難しくなくても、今から相対音感を身につけようとしている方には良いやり方とは言えません。
建物の4階を指して3階だと言っているようなものですから。
このことを解決するために、当スクールでは、12の音程それぞれに階名をつけていきます。
日本ではあまり普及していませんが、アメリカのバークリー音楽大学などで、ソルフェージュやイヤートレーニングに使われているものです。
Do Re Mi Fa Sol La Ti の基本の7つと、それらが♯したり♭したりしたときの音にも階名をつけていきます。
まったく関係のない名前ではなく、基本の7つがそれぞれ
♯する場合は母音を「i」に
♭する場合は母音を「e」に
変えていきます。Faが♯したら「Fi」となるわけです。
各階名を♯させながら順に上がっていくと
Do Di Re Ri Mi Fa Fi Sol Si La Li Ti
各階名を♭させながら順に下がっていくと
Do Ti Te La Le Sol Se Fa Mi Me Re Ra(Raのみ例外)
このように、12の音程にもれなく階名をつけていくこの方法を、トニックソルファと言います。
ここでSol(ソ)の半音上を見てみると、Si(シ)となっていますね。
みなさんのよく知る「ドレミファソラシド」のままこれをやると、「シ」が2つになって区別がつかないので、「Ti(ティ)」を使っていきます。
サウンド・オブ・ミュージックという映画の中で流れる「ドレミの歌」でも、シではなく「Ti」と歌っていますね。