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音楽メディア②カセットテープ

歌手やバンドが作品を発表するにあたって、レコードでリリースする、という時代は1980年代まで続きます。(前回も書きましたが、そこで完全に途絶えるわけではなく、今現在もレコードでのリリースはあります。)

 

そんな中、新たな音楽記録メディアが世界を席巻します。

 

そうです、

カセットテープ

です。

 

正確にはコンパクトカセットというらしいです。

 

 

じつはレコードが普及するのとほぼ同じ頃、レコードとはまったく違う仕組みで音楽のみならず様々な情報を記録する仕組みが生まれます。

磁気記録と呼ばれるその仕組みは、当初はテープに、後にディスクにも使われており、ご存知ハードディスクもこれに含まれます。

 

当時の技術では、レコードの方が容易に精度の高い録音ができ、プレイヤーが普及しており、流通もし易かったのだと想像するわけで、磁気記録による磁気テープが一般化するのは1960年代後半からのカセットテープの登場を待たなければなりませんでした。

その前はと言うと、オープンリールという、むき出しの大きなリールに巻かれたテープ(映画のフィルムのような)がありました。また、カセットテープと同時期に発表され、当初はカセットテープより性能がよく、カーステレオやカラオケなどに使われた8トラック(通称ハチトラ)というものもありました。

 

カセットテープ(コンパクトカセット)はオランダのフィリップ社が1960年代の初頭に開発し、1965年にライセンスをオープンにしたため、たくさんのメーカーが製造に乗り出し、その性能も飛躍的に伸びていきます。

その結果、1970年代に入るとオープンリールや8トラックはほとんどその姿を見かけなくなりました。

 

 

カセットテープがレコードと決定的に違っていたのは、家庭で容易に録音ができたことでしょう。

カセットテープの普及とともに、60年代末から70年代にかけて多くの家庭に、再生だけでなく録音もできるテレコことテープレコーダーが普及したのです。

一方のレコード盤は、今もって一般家庭で録音・作成(カッティング&ヴァイナル盤のプレス)することは現実的ではありません。

 

「録音ができる」という強みもあり、広く普及したカセットテープ及びテープレコーダーですが、むしろその特性ゆえか、レコードに代わり作品をリリースする上での音楽メディアの主流にはなり得なかったようです。

もちろんカセットテープでの作品のリリースもありましたが、多くの人にとってカセットテープは、レコードやCDにとどまらずテレビやラジオの音、はたまた自分たちの歌声や演奏を録音するためのメディアという向きが強かったのでしょう。

 

 

ちなみに、カセットテープにはノーマル(タイプⅠ)の他に、ハイポジション(タイプⅡ)、メタル(タイプⅣ)といった種類があました。懐かしいですね。ノーマル<ハイポジ<メタルの順で音質が良くなると当時は思っていたけど、それぞれに対応したプレイヤーで聴かない限りほとんど優劣は無いらしいです。

 

プレイヤーでは、ラジオとセットになったラジカセが爆発的に売れ、テープの片面が再生し終わると自動的に逆面を再生し始めるオートリバース機能付きのもの、2つのカセットテープを入れられるダブルデッキ、トリプルデッキなんてのもありました。

 

さらに、ソニーのウォークマンシリーズに代表されるポータブルプレイヤーの登場もエポックな事件でした。それまでは自宅の他、バーや喫茶店、遊技場など屋内で聴くことが当たり前だった音楽が、場所を選ばずに聴けるようになったのです。

 

しかしカセットテープには、繰り返し聴いていると徐々にテープが伸びてしまったり、特定の曲へアクセスするのに早送りや巻き戻しの時間が必要だったりと弱点もありました。

 

80年代に入るとデジタル化の波が押し寄せ、磁気テープにアナログ方式じゃなくデジタルで音声を記録する「DAT(ダット/デジタルオーディオテープ)」といったものも出てきました。DATは今にしてみても非常に高音質なメディアだったため、レコーディングスタジオなどの現場では良く使われましたが、一般には普及しませんでした。

 

そして1990年代に入ると、MD(ミニディスク)が登場し、ついでCD-R(書き込みできるCD)が一般的に使われるようになると、カセットテープは徐々にその役目をとって代わられ、2020年現在、ちまたではほとんど見かけなくなってしまいました。

 

 

 

ですが、

そんなカセットテープが私は好きです!

 

なんならレコードよりも好きかもしれない。

あのカチャカチャした感じ、モッサリした音

いろんなものがデジタル化し高性能になった今、そのホッコリしたたたずまいが何とも愛おしく思えるのです。

 

そんなワケで、わが家にはけっこうな数のカセットテープがあります。

あえてレコードやCDではなくカセットテープで持っている作品、いわゆるミックス・テープと呼ばれるDJによる作品、自分で作ったオリジナルミックステープ、甘酸っぱい過去の自作曲やバンドのデモテープ。一所懸命インデックスを書いたやつとか。w

大事にしていたソニーのテープデッキが壊れてしまって、今はちゃんとした再生機器がないのですが、ぜひまた欲しいと思っています。

 

もっとも世の中には、私なぞ「カセットテープが好き」などとは気安く言えないような本物(マジモン)のカセットテープ愛好家の方々もたくさんいらっしゃいます。ライトなファンもいることと思いますが。

また、ちょいちょい「カセットテープの人気が再燃」といった話は聞きますし、ここ数年、カセットテープの売り上げが伸びているらしいのです。ホントだったら嬉しい!

さらに、こだわりの強いアーティストは、カセットテープでも作品をリリースしたりもしていますし、なんならカセットテープでのみリリースしているアーティスト・作品もあります。

 

 

 

今でもひっそりと愛され続けているカセットテープ。

この先も無くならないでいてほしい。

 

maxellさん応援してます!よろしくお願いします!