すでに数年前にネット上(Twitter?)で話題になったようですが、
この写真を見て何か気づくことはありますか?
この写真、喫茶店の看板を写しているわけですが、
お店の名前が「ドレミ」。
で、看板に書かれている音符を見ると……
「ソラシじゃん!」
と言うことで、間違っている、おかしい、との指摘があったわけです。
とそこに、もうちょっと音楽リテラシーのある方が
「(調号の)シャープが1つ付いているからドレミで間違ってないよ」
と返したと。
で、
「え…ソラシなのにドレミ?どゆこと?」「けっきょく合ってるの?間違ってるの?」
といった物議を醸したらしいのです。
これはなかなかに興味深い。
当スクールでは、音名と階名の使い分けを徹底しています。
音名、つまり音の高さごとの固有の名前にアルフベットを使い、
ドレミは階名として、つまりキー(調)の主音を「ド」とする相対的な名前の付け方として使っています。
ですから、
「(調号の)シャープが1つ付いているからドレミで間違ってないよ」
という返しに賛同です。
調号のシャープが1つ付いているということはGメジャーキー(ト長調)です。(Eマイナーキーということも考えられますが、今回はそこには言及しないでおきましょう。)
最初の音符は音名でGですので、Gメジャーキーの主音であり階名で「ド」となります。
続く音符は相対的に、Aが階名で「レ」に、Bが階名で「ミ」となります。
しかしながらこの写真が話題となったのは、
「間違っている」「おかしい」と思う人が大勢いたからなわけで。
日本では、音名と階名の違いをしっかり教えてもらう機会がほとんど無いことに加え、音名にも「ドレミ」を使うことが多い、というのが現状です。
なぜこんなことになってしまったのか、と悲観的な思いはありますが、それを言っても始まらないので、少なくとも自分のスクールでは音名と階名の使い分けを徹底していこうと思っています。
なぜか。
その方が音楽的に歌を歌ったり楽器を演奏したりできると考えているからです。
音の高さに名前を付けることは、記憶(記録)する上でもコミュニケーションを図る上でも必要でしょう。
しかしその名前だけでは、多くの人は、音の高さがイメージできません。
ここで言う多くの人とは「絶対音感を持たない人」です。
その人たちにとって、その名前は、ピアノのこの鍵盤の音のこと、ギターの何弦の何フレットの音のこと、サックスのこのキーを押さえた音のこと…といった楽器上のポジションを差すだけのものになってしまいます。
これが音名ですね。
歌を歌うときに、この音名を意識しながら歌っている人はどのくらいいるでしょうか。
おそらくほとんどの方は意識していないはずです。
歌を歌うのに、音名を把握することはさほど重要ではありません。
しかし音の高さの関係性を把握することは必須です。
次の音はこのくらい高くなる、その次はこのくらい低くなる、と。
もしくは伴奏に対して歌い出しの音の高さはこのくらいだ、と。
このことは歌を歌うにあたって全員が行なっています。意識的にかどうかは別にして、全員が。
先に述べたように、この音の関係性に対して名前をつけたものが
階名です。
では、楽器を演奏しようとするとどうでしょう。
すると一転して、多くの方は音名は意識するけど、階名は意識しない。
つまり音の高さをイメージして鳴らす、ということをしなくなってしまいます。
私は、これがあまり音楽的ではないように思っているのです。
楽譜がなくても、歌を歌うように楽器が演奏できたら楽しいと思いませんか?
これは練習すれば誰でもある程度はできるようになりますよ。
本当ですよ!
で、写真の看板がなぜこうなったかについては、
まずお店の名前は「ドレミ」に決まっていて、
看板を作るにあたって「五線に音符の絵を入れよう」となるも、
「Cメジャーキー(ハ長調)では音符の位置がビミョーだな…」となり、
音楽を知る人(オーナーか看板をデザインした人か他の誰かか)が
「Gメジャーキー(ト長調)くらいがちょうど良いんじゃない?階名でドレミなら問題ないでしょ」
というのが私の予想です。