前回からのつづき
「階名」は音名と違い絶対的な音の高さを表すものではなく、ある基準の音からの音程(関係性)を表す、相対的なものです。
ですから、単独の音を階名で表現することは、本来はありません。
例えば、救急車の「ピーポーピーポー」というサイレンの「ポー」を基準としたとき、「ピー」の音がどのくらい高くなっているか。そうしたときに、基準の音に一つ名前を与え、高くなった音にもその高くなった度合い(音程)によって名前をつけ、階名とします。
カラオケのキーチェンジ機能はご存知ですよね。あれの要領で、「ピーポーピーポー」のサイレンのキー(キーについても後日お話します。)を上げたとしましょう。すると、当然「ピー」も「ポー」も音が高くなります。ですが、「ピー」と「ポー」の関係性(音程)は変わらないので、しばらく聞いていると救急車のサイレンとして、違和感なく聞こえると思います。もし、この関係性(音程)までもが変わってしまったら、救急車のサイレンには聞こえないはずです。
さて、こうやって「ピー」と「ポー」が関係性(音程)を保ったまま、音が高くなったり低くなったりしたとき、最初につけた階名はどうなるか。
どうなると思いますか?
じつは変化しないのです。
ピーの階名が「ミ」、ポーの階名が「ド」だとすると、その二つを関係性(音程)を保ったままに、いくら高くしようと低くしようと、ピーは「ミ」でポーは「ド」だということです。
童謡の「ふるさと」のメロディの音を順に階名で言うと「ドドドレミレミミファソ」となります。
そして、この曲のキーをいくら上げようと下げようと、要はキーが何であっても、階名は「ドドドレミレミミファソ」のままなのです。
ということは、一つずつの音というよりも、その関係性に名前がついていると捉えることもできます。つまりは相対的な名前だと。
分かってきましたか?
音楽の要素のうち、音の高さや音程は、この「音名」と「階名」の2つを使って理解していきましょう。
とくに「階名」は、相対音感を身につけるうえでとても重要になってきます。
ひきつづき、もう少し「音名」と「階名」についてお話していきますので、お付き合いください。
大事なところですので、あやふやにしないでしっかり整理しておきましょう。