さて前回のお話を受けて、サックスの奏法について、より具体的に。
サックスを始めて、ある程度低音から高音までまっすぐ発音できるようになったら、あまり後回しにせずに「ニュアンスをつける」ということについて考えつつ取り組んでいくのも良いと思います。
・音程のコントロール
ヴィブラート、ベンドアップ、ベンドダウンなど
・強弱のコントロール
・音色のコントロール
グロウル、サブトーン、ハーフタンギングなど
・タンギングのバリエーション
・運指による装飾
前打音、ターン、グリッサンドなど
などなど。
それぞれのテクニックは文章で伝えるのは限度があるので、おいおい動画などでご紹介していきますが、とにかく、これらの操作が自然にメロディに付随してくる状態を目指しましょう。
何をどれくらい行うかは、もちろん本人のさじ加減(センス)ということになりますが、いずれにしても上記のコントロールが容易に行えるようにしていくのがよいでしょう。
そうでないと、サックスで吹いたメロディが何とも「らしくない」そっけないものになってしまいます。
またDTM(デスクトップミュージック)でのことを引き合いに出してみますと、ソフト音源(シンセサイザー)にはサックスの音色というのがおよそ最初から準備されていると思います。メロディを打ち込んでその音色でそのまま聴いてみると、とてもサックスとは思えないような陳腐なメロディが鳴ることでしょう。
これをサックスらしく聴かせるためには、上記のような音程、強弱、音色などのニュアンスの変化を付け足していかなければなりません。
サックスはおおまかには息を使って発音し、キーの押さえ方で音の高さを変える楽器です。ですが、それだけで、「あとは間違えずに運指すればいい」という考え方になってしまうと、なかなか魅力的な演奏をすることが難しいですし、楽しさも広がっていかないような気がします。
よく、素晴らしい演奏をして「サックスが(で)歌っている」と言ったりしますが、まさに歌うことをイメージしていくと良いと思います。
テキサスホンカー、アーネット・コブの「Misty」。素晴らしい。