上手くなくても音楽は楽しめます。
それでも、やるからには上達していきたい、と考えることは当然かもしれませんね。
これは他人からの評価と関係なく、習得していくこと自体に喜びがあるからだと思います。
そんなわけで、
「上手くならないといけない」
「上手くないと他人に聴かせてはいけない」
という刷り込みに対しては、そんなことはない!と、強調して念を押しつつ、
上達について考えてみたいと思います。
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人間の記憶について
これもよく言われることですが、「短い時間でもいいから毎日練習した方が良い」です。
たとえば、月に1回、2時間(120分)の練習をするより、毎日4分(計120分/月)の練習をした方が良いです。
これは人間の記憶に関係があります。
人間は忘れていく生き物ですね。むしろ忘れることで、我々は正常に生きてられるのだそうです。
しかしながら、せっかく覚えたことまで忘れていってしまうのはもどかしいですね……。
それをしょうがないと言っていては話が終わってしまうので、忘れたくないことを忘れないようにするにはどうしたらいいか考えてみましょう。
記憶には大きく2つ、短期記憶と長期記憶というものがあります。
これらがどういうものかというと言葉のとおりなんですが、新しいことを覚えようとすると、それはいったん短期記憶として覚えられます。
レッスンのときに講師の言った内容を聞きながら理解したという段階では、それは短期記憶ということになります。で、悲しいことに、この短期記憶はものすごい勢いで忘れ去られていきます。20分後には42%を、1時間後には56%を、1日後には74%を忘れてしまいます。そんな自覚ないですよね……でも、そうらしいんですよ。
そこで、記憶の維持リハーサルというのをしていくと、短期記憶の情報が長期記憶に変わっていくのです。長期記憶は脳にしっかりしまわれて、消えることはないとされています。(それでも長い間放置しておくと、呼び出すことが困難になってくるようですが。)
ということで記憶の維持リハーサルが大切なんですが、これは簡単にいえば、忘れてしまう前に思い出して記憶をフレッシュな状態に保つということです。
月に1回、どんなに長い時間練習をしても、そこで得たものはあっという間に消えて無くなってしまいます。
まずは少ない情報を、毎日復習することで確実に定着させ、さらに情報を少しづつ増やしていくのが効率が良いということになります。
「一歩進んで二歩下がる」ようなことがないよう、0.5歩づつでも下がることなく進んで行きたいですね。