レッスンでは少なからず楽譜を用いることがあります。
「何を言っているんだ、音楽のレッスンなら当たり前だろ」と思われるかもしれません。
でも、本心を言うと私は必ずしも常に楽譜を使いたいとは思っていません。
楽譜は記録手段、伝達手段としては何百年もの歴史を誇り、その完成度は素晴らしいものがあります。
ただ、音楽そのものの歴史は楽譜のそれよりもはるかに長い。
楽譜のなかった時代、音楽は聴いて覚えて真似していくことで習得され広まっていったと想像されます。
いわゆる口承というやつですね。
口承の音楽は日本の民謡や童歌をはじめ、今でも世界各地にあります。
また、私がギターを始めた頃は今のように手軽に様々な楽曲の楽譜を手に入れることはできませんでしたので、弾きたい曲を弾こうと思ったらいわゆる耳コピをせざるをえませんでした。
当時の私にとって耳コピは簡単ではなく、弾きたくても弾けないということもしばしばでしたが。
とにかく楽譜は必ずしもなくてはならないものではなかった。
もしあればラッキー!くらいのものでした。
ラッキーにも見つけた楽譜を広げていざ弾こうとすると、今度は慣れない楽譜に悪戦苦闘。
一生懸命楽譜を読み解いてなんとか運動に落とし込むことと、いいかげんながらも音を拾ってその音をギターで探っていくことは、同じ音楽、同じギターとは思えないくらいの乖離があったのです…。
話を戻しまして、音楽は元来は「楽譜ありきのもの」ではなかったはずです。
それが現在どういうわけか、一部においては「楽譜に書かれているとおりに体を動かすこと=音楽を奏でること」と思われているのではなかろうか、という状況がある。
もちろん生徒さん1人1人で何がしたいか、何ができるようになりたいかは違いますので、譜読みがマストな場合もあるでしょう。
その場合は大いに楽譜を使って行けばよいのですが、逆に言えばやりたいこと、できるようになりたいことによっては楽譜を用いる必要はないのではないか、というのが私の考えです。
むしろ楽譜に捉われることの弊害もあると感じていますが、それはまたの機会に。
とにかく、これから音楽を始めたいと思ったとき、「楽譜が読めないから…」と躊躇することはありませんよ!
まったく問題ないです!
楽譜が読めなくても音楽を楽しむことはできます。
そして本当に必要だと思ったタイミングで譜読みの練習を始めたって遅くはありません。