才能。
音楽おいて、頻繁に「才能のあるなし」ということが語られます。
この才能っていったい何なんでしょうね?
世の中には少数の飛び抜けた才覚をもった人がいます。
いわゆる天才というやつです。
私のような凡人からしたら妬ましいかぎりです。
でも彼ら彼女らは、いっさい練習もせずに天才と呼ばれるようになったわけではないでしょう。
いや、むしろ常人には想像もつかないほどの努力をしてきたことでしょう。
この「努力を惜しまず、ずっと続けられること」こそが才能ではないかと私は思っています。
一方、もっと身近なところで聞く「才能」という言葉が指すのは、それとは若干違うような気がします。
しばしば「飲み込みの早さ」や「器用さ」が才能という言葉に置き換えられているように思うのです。
確かに、同じタイミングでスタートし同じ時間だけ練習をしたとき、上達度合いは人それぞれで、上達・飲み込みが早い人はいます。
しかし、はっきり言ってこれは「才能」という言葉とは無関係だと私は思います。
ただ、最初の、ほんの歩き始めのときに少しだけ速い。
下り坂から歩き始めた、みたいな。
歩き始めが、人によっては平地から、人によってはやや登り坂からと違いがあるだけです。
その後は、誰しにも登り坂もあれば下り坂もあるのです。
だから人に比べて少し飲み込みが遅いからといって「私には才能がないんだ…」なんて思わないようにしてください。
ましてや他の人と競争しているわけじゃないと思いますので。
そんなことよりも、練習していて少しでも「楽しい」と思えることがあると良いと思います。
誰かに無理やりやらされているならいざ知らず、趣味として音楽をするのなら楽しさこそが続けるための一番のモチベーションでしょう。
そして続けてさえいれば確実に上達します。
続けた時間に反比例して下手になっていく、という人を私は見たことがありません。
目標を掲げるのも良いことだとは思いますが、現状に楽しさを見出せなければそこに到達するのは困難です。
「現状の中に小さな楽しさを見つけられること」もまた才能と言えるのではないでしょうか。