音量のお話、つづきです。
前回は個人練習のときの音量についてでしたが、今回は自分以外の誰かと一緒に演奏するとき、つまり合奏するときについてです。
合奏といってもセッション、リハーサル、ライブ本番といろいろです。
ですが、そのすべてに共通して重要なことは自分以外の人が鳴らしている音をよく聴くということです。
それが大切なのは言うまでもないことですが、これが慣れないうちは意外と難しい。
それでも周囲の音(自分以外の人が鳴らしている音)に意識を向けていれば、徐々に聴こえるようになってきます。
しかしながらそれを妨げる要因になってしまうのが音量バランスの問題です。
そのため本格的かつ大きな会場で開催されるライブなどでは、演奏者がもっとも演奏しやすいよう音量バランスを調整することに非常に神経を使います。
モニタースピーカーやイヤモニ(インイヤモニター)を用い、専門のスタッフとコミュニケーションをとって音量を決めていくのですが、セッションやリハーサル、または小規模なライブとなると、自分たちで音量バランスを考えていく必要があります。
まず、全体の音量です。
人間の耳には許容量がありますので、あまりにも大きな音量では、ちゃんとした合奏ができているのかできていないのか判断することが困難です。
大音量で演奏してストレス発散!という面もあるかとは思いますが、少なくとも誰かに聴かせることが目的であれば、大きすぎる音量はおすすめしません。ジャンルによっては音が大きいことが重要である場合もあるのは分かるのですが。
パート別に見たときには、その合奏において1番大切なパートを考えます。
そのときどきで変わることもありますが、ヴォーカルがいる編成であればヴォーカルがそれに当たることが多いでしょう。
例えばギターやドラムの音量が大きく、ヴォーカルが埋もれてしまうようなことがあれば、それは全体で考えれば良いこととは言えないですよね。
オリジナルの楽曲を演奏していても歌が埋もれてよく聴こえない、せっかくの歌詞が聴き取れないというライブを観客として体験したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ジャンルや曲調によってそのバランスはいろいろだとは思いますが、各パート間で音量を競い合わないとならないのは個人的には「大変だなぁ」と思ってしまいます。
自分たちが演奏しやすく、聴く人に気持ちよく伝わるような音量や音量バランスを探していく、ということですね。
ちなみに音量を大きくもしくは小さくすることで、ミスを誤魔化すことができるのでは、と思う方もいらっしゃると思います。
確かにそういうこともなきにしもあらずですが、上達しようと思うのであればミスはミスとハッキリ分かった方がいいと思います。
そしてできれば音量はそういう消極的な理由でなく、こうした方がステキだ、こうした方がカッコいいといったポジティブな理由で決めていきたいですよね。