今回は「チューニング」について。
楽器を演奏するにあたっての準備としては、もっとも大事であり、意外とおざなりにされがちでもあるチューニング。
正しくチューニングされた楽器を使わないと、思わぬ弊害が出てくることにもなります。
チューニングについて知って、正しくチューニングすることを習慣づけていきましょう。
広くは楽器を演奏に最適な状態にすることすべてを指してチューニングと言うこともありますが、今回はその中の「音の高さを正確に合わせる」ことに絞ってお話ししていきます。
音の高さを合わせるといっても、そこにも2つの意味があります。
1つは自分が演奏する楽器(の中で)のチューニング。
もう1つは合奏をするとき、それに参加する楽器同士で行うアンサンブル全体のチューニングです。
楽器によってチューニングの仕方はさまざまです。
・ピアノ
ピアノのチューニングは「調律」と言われますね。
調律師の方に、最低でも1年に1回は施してもらうのが良いとされています。
調律師という専門職があることからも分かるように、自分で行うことは困難です。
・ギター、ベース、ウクレレ
これらの弦楽器はペグという弦巻きを回して、各弦の張り具合を調節していきます。
ちょっとしたことですぐに狂って(ズレて)しまうので、頻繁にチューニングするようにしましょう。
フレットのある弦楽器は、開放弦を正しくチューニングしても、高いフレットを押さえて弾くと音程ズレてしまうことがあります。これを補正するためのオクターブチューニングも大事です。
・サックス、フルート、トランペット
これらの管楽器は、管の端から端までの長さをわずかに長くしたり短くしたりしてチューニングします。
1音ごとではなく、全体の音程を上げ下げすることになります。
サックスやフルートは管体の穴を塞ぐキーの開き幅によっても変わってきますが、繊細なので基本的には専門のリペアマンにお願いしましょう。
・ドラム、パーカッション
スネアドラム、タム、バスドラム、コンガ、ボンゴ、ジャンベといったいわゆる皮モノは、打面を張るテンションを調節して音高を上げ下げします。
その他、音の高さではありませんが、皮モノも、金モノ(シンバル類)もミュートで音の残響を調節します。
音階のある楽器とは違いますが、これらの打楽器もチューニングによって印象はがらっと変わります。
チューニングには正確な基準音が必要なので、なにかしらのツールを用います。
手軽で一般的なのはチューナーです。
音の高さに反応して振れる針をセンターに合わせることでチューニングする機械です。
箱型のもの、クリップタイプ、ペダルタイプなどいろいろな製品があります。
スマホのアプリもあります。
他には、基準音のAを鳴らす音叉や、笛(ピッチパイプ、調子笛)を使うこともあります。
なにしろ視覚で確認できるのでチューナーを使うのが楽だしオススメなのですが、一方で「まったく耳を使わずにチューニングできてしまう」のも良いことばかりとは限りません。
合っている、合っていないを自分の耳で判断できるようにならないからです。
歌はもちろんのこと、じつは多くの楽器も演奏の仕方によって音程を作って(自分で音高をコントロールして)います。
そのとき、正しい(気持ちのいい)音程で鳴らせているかどうかは、やはり自分の耳で確認・判断していかなければなりません。
やはり音楽ですから「耳を育てていく」ことが大切で、チューニングにしてもチューナーにたよるばかりでなく、自分の耳で合わせることにトライしていくのもいいと思います。
つづく