コードの移り変わり=コード進行には、いくつかの定番と言っていいパターンがあります。
そんな中で昨今「丸サ進行」と呼ばれているものがあります。
その昔「マルサの女」という映画がありましたが、もちろんまったく関係ありません。
椎名林檎さんの1999年のヒット曲「丸の内サディスティック」を略して「丸サ」と言っているんですね。
つまり、この曲で使われているコード進行が「丸サ進行」ということです。
近年ではYOASOBIの「夜に駆ける」などにも使われているこのコード進行。
私の周りでは「Just the two of us進行」と呼ばれていました。
「Just the two of us」はサックス奏者グローバー・ワシントン・Jrの1980年のヒット曲。
シンガーソングライターのビル・ウィザースがヴォーカルをとっていて、彼を含むチームで作曲をしたようです。
個人的には丸サよりもこっちに馴染みがありますが、「Just the two of us進行」ってちょっと長いですもんね、言うとき。
「丸サ進行」は言いやすい。
ちなみに、「Just the two of us」がこのコード進行のオリジンかというとそうでもなくて、それ以前にボビー・コールドウェルの「What You Won’t Do for Love」(1978年)があったりします。
そんな感じでけっこう昔から使われているこのコード進行。
まあ、なんというか洒落た雰囲気になるわけですが、ポイントはメジャーキーの中心であるトニックコードが「出てこない」ところ。
キーがCだとすると、
||: FMaj7 | E7 | A-7 | G-7 C7 :||
この4小節をひたすらくり返すのですが、トニックコードのCもしくはCMaj7が出てこないんですね。
だから若干キーがつかみにくいかもしれません。
サブドミナント(ダイアトニックコードの4番目)のFMaj7から始まり、すぐに平行調のAマイナーに転調し、くり返すためにFMaj7へと向かうⅱ-Ⅴへと接続します。
1つ1つのコードもトライアド(三声の和音)ではこの雰囲気は出ませんで、7th系(四声の和音)である必要があります。
う〜〜ん、素晴らしい!
発明ですねこれは。
つい先日、耳コピしたMISIAさんの「つつみ込むように…」にも使われていたので、こんな記事を書いてみました。
しかしながら、コード進行が同じだからと言って同じ曲になるわけもなく、メロディ、歌詞、アレンジ、演奏によって、まったく違う曲になるわけです。
そこがまた音楽の、奥が深くも面白いところですね。