ベースの役割は「アンサンブルの土台」でした。
それはハーモニーにおいてのみでなく、リズムにおいてもしかりです。
今回は、一つの曲で、ベース以外のパートは変えずに、ベースのみいろいろなパターンに変えて聴いてみるという実験をしてみます。
ただし、ドラムについては、ベース同様リズムのパターンを強く打ち出すパートですので、この実験では影響を少なくするためにシンプルなライドシンバルとスネアドラムのみのパターンを叩いています。
実際には、ベースとドラムのパターンの絡みが肝になってきます。
ということで、メロディーとハーモニーは変わりませんが、リズムの印象がベースによってどう変わるのかを聴いてみましょう。
(前回でっちあげた曲の使いまわしです。歌は気にしないように。)
1 まずはコードが変わるタイミングでコードのルートのみを全音符もしくは2分音符で弾いた場合。
2 つぎにそれを4分音符に分割した場合。少しだけ推進力が出ました。
3 これは同じタイミングで弾いていますが、音を短く切った場合。1拍ずつが強調されて聴こえます。
4 4分音符で弾くとき、こんなふうに音を上下に動かしていくことがあります。ウォーキングベース(ライン)と言います。
5 ルート弾きを、さらに分割して8分音符にした場合。疾走感が出てきました。
6 これをスタッカート(音を短く切る)にするとこんな感じ。
7 スタッカートしつつ、ルートをオクターブで上下させるとディスコ風……?
8 8分音符でウォーキングすると……ウォーキングというよりはランニングですかね。
9 他のパートのコードチェンジはいわゆる「食った」タイミング(ここでは基より半拍早いタイミング)です。そこにベースも合わせるとこんな感じに。グイグイっと先に進む感じですね。
10 ところどころ休符にしてみるとこんな感じ。ちょっと躍動感が出ますね。
11 少し音を上下させたり、今までの要素を混ぜ合わせると……。
12 さらに16分音符のタイミングにも音を入れていくとこんな感じに。ファンキーなノリ。
13 サンバ風。
いかがだったでしょうか。
今回はあくまで実験ですので、他のパートはいっさい変えずに、ベースだけを無理やりいろいろに変えてみましたので、必ずしもアレンジとして上手くまとまっていないものもあります。
ですが、ベースがどうなっているかが、曲の印象に意外なほど影響があることがお分りいただけたんじゃないでしょうか。
実際の演奏ではさらに、音符に書ききれないような微妙なタイミングを前後させることで、アンサンブルのノリをコントロールしたりもします。