
私の好きなドラマー
3人目は
クエストラブ
(Questlove / ?estlove)
です。
スティーヴ・ジョーダン、アッシュ・ソーンときて、クエストラブ。
3人ともご存知の方であればなんとなくお気づきかと思いますが、私はグルーヴ系のドラマーが好きです。
派手さや手数はむしろ控えめな方が好み。
もちろん、派手で手数が多いドラマーにグルーヴが無いわけではないし、テクニシャンの中にも好きなドラマーはいますが。
クエストラブはアメリカのヒップホップバンド「ザ・ルーツ(The Roots)」のドラマーであり、その界隈のヒップホップやネオソウルといったブラックミュージックのクリエイターでもあります。
DJをやったり、アメリカのテレビ番組にもよく出演しているみたいです。
彼のドラムを最初に聴いたのは、ザ・ルーツのセカンドアルバム「Do You Want More?!!!??!」(1995年)でした。
その作品はドラムだけでなく、すべてが衝撃的でした。
なんたって「生」ですから。
ヒップホップという音楽はその生まれや特徴から、「生で演奏する」ということが今もって珍しいのです。
ドシッとしたキックとカン高いスネアが、いわゆるポケットで、ゆったりと繰り返(ループ)されるドラム。
マジか〜〜。
気持ち良すぎるでしょコレ!
私がグルーヴ系のドラムを初めて意識した瞬間でした。
ズレるビート
さらにクエストラブは、ソウルシンガーのディアンジェロ(D’Angelo)によるソウルミュージックの金字塔的アルバム「Voodoo」(2000年)で、後に大きな影響を及ぼすことになる「ズレ」るドラム(ビート)を叩きました。
当初は理解する人が少なかったようですが、10年ほど前からかな?じわじわとその中毒的なビートに感化される人が多くなり、今では「ドランクビート」「ディラビート」などと呼ばれ、ひとつのスタイルとして認知されています。
この「ズレ」はディアンジェロが、ヒップホップのビートメーカー(ラップを乗せるための音楽を作る人)であるJ・ディラ(J Dilla)の作るビートのような「ズレ」を生で演奏するように、クエストラブにリクエストしたそうです。
クエストラブいわく、「J・ディラとディアンジェロがオレにクオンタイズやめさせた」ということです。
とは言え、J・ディラの作るビートがすべてズレていたわけでもないし、ディアンジェロもそういったある種のレッテルを貼られることを嫌っているようです。
ともあれ「Voodoo」では、それまでの正確無比なドラムから一転、グワングワンに酔っ払ったようなドラムに。
しかし彼のドラムは、スクエアなビートでもズレたビートでも、それが延々と繰り返されることで生まれる強力なサイクルがあります。
クエストラブの最近の活動までは追いきれていないのですが、やっぱり私の中ではスペシャルなドラマーであることに変わりはありません。
ザ・ルーツによるJ・ディラのカバー集。まぁ、カッコいいに決まってるやつです。
ザ・ルーツ feat. エリカ・バドゥのナンバー。このスネア!イン・ザ・ポケット!
「Voodoo」からのナンバー。ピノ・パラディーノのベースとの絡みがネチネチしてて最高。