「本格派」というのはだいたいポジティブなこととして使われる言葉だと思いますが、では反対に「本格派でなければダメ」なのでしょうか?
本格派(本格的)の対義になる言葉ってなんでしょうか。
なんちゃって?
遊び半分?
これだとやはりネガティブな印象になってしまいますね…。
でも私は、必ずしも本格派じゃなくても良いと思っています。自分に対しても、人様に対しても。
およそ10年ほど前になるでしょうか、日本の歌謡曲やポップスの歌手がジャズを歌い作品をリリースしたりライブを行ったりすることが、ちょっとしたブームだったことがあります。
元SPEEDの島袋寛子さんのジャズプロジェクト「Coco d’Or」。
元モーニング娘。の加護亜依さんもそれに続きます。
ブームの立役者でもあるJUJUさんのジャズアルバムはオリコンチャートのトップ5という快挙。
由紀さおりさんはジャズバンド「ピンク・マルティーニ」と共演し、ニューヨークをはじめアメリカ各地での公演を成功させます。(動画はもっと古い、おそらく90年代のもの)
”トラック野郎の女神”こと八代亜紀さんがジャズというのは意外性もあり話題になりました。
そして松田聖子さん。「聖子ちゃんがジャズ!?」とこれまたビックリしました。
はたまた、高岡早紀さんはじつはジャズが身近な方なんですよね。
しかしまぁこのラインというか系譜は古く、美空ひばりさん、江利チエミさん、伊東ゆかりさん、青江三奈さんなど枚挙にいとまがありません。
みごとに女性ばかりですね…。
さて、このような作品や活動に対しての評価は、じつを言うとあまり良くないことが多いようです…。
(言わずもがなかもしれませんが、美空ひばりさんの一連のジャズ作品をはじめ、非常に評価が高いとされているものももちろんあります。)
想像するに、元々のその歌手のファンからすると、たとえジャズをやることが歌手本人の強い意向だったとしても、やはり耳に馴染んだ歌謡曲やポップスでの作品や活動をひきつづき期待している、ということはあるかもしれません。
そして一方、ディープなジャズのファンからすると、知名度のある歌手に無作法に我が庭を荒らされているような気分なのかもしれません。
もしかするとそういう穿った見方(聴き方)をせずとも、なかなか良い評価が得られないものもあるかもしれませんが…。
しかし、ここで冒頭の「本格派でなければダメなのか?」という疑問が湧きます。
ジャズサイド?からすると、この手の作品や活動がジャズを聴く入り口になり、間口を広げ、新しいリスナーやファンが増えることに繋がるのは喜ばしいことではないか、とはしばしば言われます。
でも個人的にはそんなことを抜きに、
単純に「なんちゃって」が好き。w
本格派は本格派で素晴らしいのはもちろんなんですけどね。
なんちゃっての、取って着けたような感じというか、折衷感というか、例えば歌だけが妙に浮いている感じなんかがなんとも言えず好きなのです。
ジャズじゃなくても、レゲエのフォーマット(様式)にのせた日本のポップスとか、大好きでして。
もちろん良し悪しの判断は人それぞれですけど。
【注意!】
ところで上に挙げた方々の作品やライブには、プロデュースにしても演奏にしても、日本屈指の素晴らしいジャズミュージシャンがずらりと参加されており、そういう意味では私なぞが「なんちゃってだ」などとは口が裂けても言えなかったりもします。汗
あっ、言ってしまっていますね。汗汗
違うんですよ、そういう本職のジャズミュージシャンや巨匠の仕事がなんちゃってだと言っているわけではないので誤解なきよう…。汗汗汗
ふと思い出しました。
ぜんぜん毛色は違いますが、自らを「フェイクジャズ(偽のジャズ)」として堂々となんちゃってをやっている超クールなバンド「ラウンジリザーズ」はこちら。