つづけていきましょう、私的名曲選。
今回は
EAST END x YURIの「素直に」
です。
EAST END x YURIは大ヒット曲「DA・YO・NE」でご存知な方も多いと思います。
EAST ENDはMCのGAKUさん、DJのROCK-TeeさんとYOGGYさんからなるヒップホップグループ。
YURIさんはアイドルグループ、東京パフォーマンスドールのメンバーでした。
そんな一見ミスマッチな組み合わせから生まれたこのユニットとその楽曲は、当時の時代性にマッチしたのか大当たりしたわけです。
まだ今ほどラップやヒップホップが一般的に知られていなかった1995年にして、ミリオンセラーを記録し、紅白などテレビの歌番組やCMにもたくさん出演していました。
活動期間はけっして長くはありませんでしたが。
この「素直に」という曲はファーストミニアルバムに収録され、シングル「DA・YO・NE」のカップリングとしてもリリースされました。
なので、当時「DA・YO・NE」を買って聴いていた人にとっては懐かしい、聴き覚えのある曲だと思います。
個人的には長い間、かなり印象に残っている曲です。
フック(サビ)の歌詞はこんな感じ。
「好きな物が同じで
好きな物を好きとちゃんと言えて
好きで好きでたまらないときキスして
好きと言ってくれた君が好き
素直に好き 素直に好き
そのたった一言で僕ら二人
元に戻れるのに意地っ張り
素直に好き その一言が言えずに」
素直になれず仲直りできない、なんだか甘酸っぱい記憶…。
でも大切ですよね、素直さって。
そんなことを、それこそ素直に綴ったこのリリックはGAKUさんによるもの。
ソプラノサックスのソロから入るトラックは、ROCK-Teeさんによるもの。
ちょっと切ない感じのエレピのコードと、スネアのリムショット、そして大きめにミックスされたベースが気持ちいい。
2小節のループが基本ですが、2小節目に入るサブドミナントマイナー代理の♭Ⅵコードがこの曲のキモですね。
とくにYURIさんのラップは、その手前のⅥmからの半音下降を上手くなぞっていて、切なさが強調されます。
またYURIさんのラップは、このキーのメジャー7thであるAの音への跳躍が目立ちますが、これがとても気持ちがいい。
彼女のラップにはGAKUさんらメンバーからのアドバイスが多分にあったかと思いますが、この曲のラップのフロウは個人的にはむちゃくちゃ完成度が高いと思います。
そしてやっぱり前述のソプラノサックスがもたらす影響は大きい。
演奏は今もジャズシーンでバリバリ活躍中の竹野昌邦さん。竹野さんが30歳くらいの頃の録音かな。
タメのあるフレーズ、ステキです。
EAST END x YURIは、ヒップホップのコアなリスナーからはあまり正当な評価をされていないのかもしれませんが、私は好きです。この曲や「DA・YO・NE」以外もほとんどの曲がいい。
「DA・YO・NE」はたくさんリメイクされましたが、「素直に」のカバーはちょっと見つからなかったですね。