私的名曲選、今回は
「WOMAN」
です。
1989年リリースの、アン・ルイスさんが歌った曲。
ちなみにWOMANというタイトルの曲はいくつかあり、日本のポップスでは、薬師丸ひろ子さんが歌った「Woman “Wの悲劇”より」や中西圭三さんの「Woman」も良い曲ですね。
もちろんジョン・レノン先生の「Woman」も超名曲。
アン・ルイスさんはデビュー当時はニューミュージック然とした曲調が多かったものの、80年代になると徐々にロック思考が強くなり、WOMANの前までにはすっかりハードロック姐さんとなっておりました。
そんな流れでリリースされたこの曲。
アニメ「シティハンター」のスペシャル版でエンディング・テーマとして使われた他、明星のカップラーメンのCMにも使われました。
作詞は石川あゆ子さん。80年代に石川秀美さんや稲垣潤一さんの曲で詞を書いていらっしゃる方のようです。アンさんのシングルでは、WOMANの前作「美人薄命」、前々作「KATANA」もこの方の作詞。
作曲は中崎英也さん。小柳ゆきさんの「あなたのキスを数えましょう」や鈴木雅之さんの「もう涙はいらない」などのヒットを含む多数の曲を手がけていらっしゃいます。
編曲は佐藤準さん。元SMOKY MEDICINEのキーボーディスト!あの曲やあの曲など、ヒット曲を多数手がけていらっしゃいます。伊藤銀次さんの後を継いで、80年代後半のアンさんの作品の編曲をされています。
WOMANの私的な名曲ポイントは、「サビの2段構え!」これに尽きます。
日本のポップスで多くみられるのが、イントロの後、Aメロ→Bメロ→Cメロ(サビ)という3つのセクションで1コーラス(1番)になっているという構成です。
この曲もやはり3つのセクションでできていますが、注目すべきはBメロです。
このBメロ、めちゃくちゃキャッチーじゃないですか?
Bメロというのはむしろ、Cメロ(サビ)を際立たせるためにいったん「落とし」たりすることもあるセクション。
そのBメロに、まるでサビのようなキャッチーさがあるのがこの曲です。
前述のCMでこのBメロ部分が使われていることからも、いかに印象的かがうかがえます。
AメロからBメロへ移る時のあのブレイク(ピタッと止まるとこ)、完全に次はサビが来るパターンのやつですもんね。
Bメロがサビとなって1コーラスが終わりでも十分にいい曲かと思いますが、この曲はCメロまであるんですね。
サビの後にまたサビ!というなんとも贅沢な作りになっているのです。
アレンジはけっこうシンプルで、歪んだ音色のギターでパワーコードを刻んでいく王道ロック調。けど、それがつまらないとかではなく、このシンプルさが曲自体の良さを引き立てていると思います。さすがプロの仕事!という感じです。
歌詞は女性らしさがあると言えるんでしょうか。同名タイトル曲でも男性が書いたWomanとはやっぱり違う気がしますね。
個人的に歌詞には普段からあまり頓着がないのですが、この曲に関しては、各セクションのアタマの歌詞がすごく印象に残ります。
「つわものどもが夢のあとだね」
「あの日あなたと踊ったドレス」
「MY NAME IS WOMAN」
なんというか、この曲のメロディーやアレンジとがっちり噛み合ってて、とても強度があるように感じます。
コード進行もシンプルで、さほど難しいことはしていないのですが、モーダルインターチェンジで♭Ⅶのコードを効果的に使っています。
サビの最後にドミナント進行を使わずに、Ⅳ→Ⅰ の進行にすることでサラッと終わらせているのも肝かもしれません。
まぁとにかく私的には「サビの2段構え!」これに尽きるわけでして。
名曲!
この曲のオフィシャルなカバーってほとんど知らないな〜、と思って調べてみると…
なんとスージーQことスージー・クワトロさまがやってるじゃないですか!
…でも、これはちょっとこねくり回しすぎかな〜…アンさんバージョンの潔さがやっぱり好きです。
他にはこの方のバージョン。
簡素な打ち込みドラムにアコースティックギターのストローク、そしてポリスの「Every Breath You Take」を思わせるアルペジオといったシンプルなアレンジ。
少しあざとい感じもするけど、これはこれでいいですね。