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音の長さをコントロールしよう②

音価のつづきです。

 

前回、音価とは一次的には「音符の長さ」だとお話しましたが、実際のところポピュラーミュージックでは楽譜に書かれている音符は、発音のタイミングを表していることが多く、音価については歌い手や演奏者に委ねられていたりします

 

クラシック音楽の楽譜には、こと細かに演奏記号が記されています。基本的にはこれを無視することは良しとされません。

一方、ポピュラーミュージックの楽譜では、そういった演奏上の指示というものは最小限にとどめられ、むしろほとんど記載が無い場合の方が多いでしょう。

でも、だからといって何も考えずにただ譜面をなぞるだけで良いわけではありません。このフレーズだったらこうしよう、あのリズムだったらああしよう、と歌い手・演奏者が工夫していかなければなりません。

逆に言えば自由度が高く、記譜上は4分音符だとしても、音価よりもたっぷり伸ばすことも、限りなく短く切っていくこともできるわけです。

 

この「楽譜には書かれていない(書ききれない)音価のコントロール」が、楽譜上同じフレーズでも歌い手や演奏者によってまるで印象が変わってくることに繋がっています。

 

例えばベーシストが音価をコントロールすることは、ベースという楽器の音域その他の要因により、楽曲の印象を大きく方向付けることに直結します。

隙間なく次の音まで音を伸ばしていけばどっしりした安定感が、また、短く切っていけばハキハキした印象に、音価の長短を組み合わせることで、有機的で踊り出したくなるような印象にもなります。

いわゆるノリグルーヴといったものをコントロールできるわけです。

 

もちろんベーシストのみならずすべてのパートの歌い手・演奏者が音価を意識すべきで、バンドアンサンブルにおいてはこの音価のイメージをメンバー間でビシッと合わせることによりグッと一体感が増すと思います。

 

このように音価は、単に記譜上の音符の長さだけでなく、「どういった演奏にしよう」という歌い手・演奏者そしてバンドの意識によって決定されるものであり、歌唱・演奏を良いものにするための大きな要素でもあるのです。

 

わざわざ言うまでもないと思いますが、ここで言う「記譜上の音符」とは、「楽譜があったとすれば」と言う想定でのことです。

ポピュラーミュージックではすべてのパートの楽譜(パート譜)など無いことの方が多いでしょう。オリジナル曲を作った場合も、コード譜程度しか書かないことがままあると思います。

そういう場合でも当然、音価には意識を向けていきましょう。