絶対音感は必要か

 

前回からのつづき

 

さて、話を戻しましょう。

音楽と仲良くなるために、運動を記憶したり、視覚に頼ったりするだけでなく、「音」をもっと意識していきましょうということでした。

そして、歌える曲であればそれは演奏もできる。そうなったらきっと楽しいですよね。

 

この話をすると、それを聞いた多くの人の反応は、「今から音楽を始めて、そんなふうになれますかね?」というかなり懐疑的なものです。

頭の中で曲をイメージして、それが既存のものでも、その場で思いついたものでも、パッと演奏に置き換えることができる。

そんな芸当は、天才でもないとできないんじゃないか、幼少の頃から音楽を専門的にやってきた人でもないとできないんじゃないか、と、そう思う気持ちも分かります。

 

そんなふうに思ってしまうのは、これまた日本の音楽や音楽教育を取り巻く、歪んだ認識によると考えられます。

 

「絶対音感」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。

しかし、この絶対音感について、しっかりした理解を持っている方は、案外少ないのではないでしょうか。

 

絶対音感とは、ある高さの音を聴いたりイメージしたりしたときに、その音の高さを、一切のツールを使わずに自身の持つ記憶に基づいて認識(判断)できる能力です。

おもむろにグラスなんかを指で「チーーン」と弾いて、その音が「Eだね」とか「F#だね」とか、そんなふうに分かるということですね。

 

そして、この能力は一般的には、幼少期に絶対音感を身につけるための訓練を受けたうちの何割かの人にしか身につかないと言われています。

また、その「絶対」という響きからか、人も羨むすごい能力だと思われている節もあります。

 

実際に私も、ちゃんとした認識を持つまでは、絶対音感を持つ人にコンプレックスを抱きましたし、どうにか今からでも絶対音感を身につけられないかと足掻いたりもしました。

 

そして現在、私は、音楽を楽しむうえで絶対音感は不要だ、という考えに至っています。

 

つづく

 

写真は、新橋の焼き鳥屋さんにて。まったく関係なくてすみません。