上手いと思う歌手を無理やり押し付ける企画①玉置浩二

始まりました!

「この人は歌が上手い!」と思う人を挙げ、無理やりにその良さを押し付けるという、けったいな企画!

 

初回を飾りますは……

 

玉置浩二さん!

 

でたー!日本の歌謡・ポップス界の歌ウマといえばこのお方。

 

いきなりラスボス。笑

 

 

はりきっていってみましょう!

 

まずざっとご紹介。

玉置浩二さんといえばバンド「安全地帯」のヴォーカルで、ソロのシンガーソングライターとしても数々のヒット曲をお持ちの方です。

世に出てきた頃から凡百の歌の上手いシンガーから頭一つ抜けでたような存在で、今や「日本で歌が上手い人」といえば必ず名前が挙がってきます。

 

 

わざわざ文字で説明することじゃないですが……

とりあえず、音程、リズム、発声といったベーシックな要素は、軒並み超ハイレベルです。

 

 

まず音程に関しては、この方は完全に相対音感で音をとっていますね。

Cを歌う、Dを歌う、Eを歌うという音の取り方じゃなくて、周りに鳴っている音との関係性の中でもっとも気持ちよく響き合うところに音を持っていっている。

じつはこれは歌を歌うにあたって、ほとんど全ての人が行なっていることではありますが、その精度がハンパない。

だから、ただカラオケで高得点を出せる人とはあきらかに違って聴こえます。もっと遥かに気持ちがいい。

カラオケの機械がバッチリと判定する音が、いつも気持ちよく響くとは限らないんですね。

また、細かいところで一瞬音程が外れたように思えても、ひとつのフレーズとして聴いたときは気持ちがいいという、捉え方のスケールが大きいことも特徴です。

 

このことは、ひるがえって我々の音楽の聴き方にも、あらためて考えさせられるものがあります。

カラオケの採点マシーンのような聴き方をしていると、音楽がどんどん窮屈になってしまう。

 

玉置さんの歌い方は、音楽をするにあたって、音を発することと同じかそれ以上に「聴く」ということ、そしてその「聴き方」が大切だと、あらためて思わせてくれます。

 

そういったことが特に顕著に表れるのが、他の歌手とデュエットしてハモリパートを歌ったとき。

主旋律に対して、ホントに気持ちのいい音程に当ててくる。

そのコントロール力たるや

 

 

玉置さんのリズムに関してはあまり語られることがないような気がしますが、やはりリズムも素晴らしい。

いわゆるR&B系のシンガーのようにあからさまには16系の細かいリズムを打ち出さないですが、大きな拍や小節の感覚(タイム感)がすごくガッチリどっしりしています。

メロディをフェイクしたり、思いっきりレイドバックしたりしたとき、その一つ一つの音は何分音符か何連符かという置き方ではなく、大きなノリに包括されていて聴く側に違和感を与えません。

おそらく玉置さん、というか安全地帯はデビュー前までに、じつにいろんな音楽を満遍なくコピーしてきたのではないでしょうか。そんな中にはリズムが強いファンクなども含まれていたと思います。ただそういった要素は、オリジナル曲ではすっかり素地に溶け込んでいるように感じます。

 

 

発声は本当にナチュラルですね。

低音から高音まで無理がない。

驚くほどに。

これが簡単にできれば苦労はないのですが

 

 

テクニック的にもバケモンだと思いますが、これが案外、非常に地味な部分のコントロールだったりします。

派手な上手さアピールのためのテクニックじゃない。

 

玉置さんの作曲や、ギターの弾き方を見ていると、「この人は典型的な、いわゆる感覚派のミュージシャンなんだな〜」と思ったりします。

頭で考えてテクニックで歌う「職人肌」ではなく、感覚派、つまり「芸術家肌」のミュージシャン。

だから打算的なものを感じない。

 

そういえば、以前何かでご本人が「上手く歌おうと思わない」みたいなことを言っていました。

カッコつけないというか。

なるほど。

分かる。

分かりますよ。

分かるけど……難しいっす。

 

本当に玉置さんの歌は、上手く歌ってやろうとして小手先のテクニックで歌う歌とは比べ物にならないくらい説得力があり、歌声がスッと入ってきます。

〇〇みたいに歌おう、みたいなのも、そういう意味では邪魔な考え方なのかもしれません。

 

その結果、狙わないからこそ滲み出る個性といいますか、癖っぽさもあります。

 

 

そんなこんなで、まぁもちろん、みんながみんな玉置浩二を好きなわけじゃないでしょう。

むしろ嫌いだわ、という人もいらっしゃるでしょう。

「なんか気持ち悪いわ~」とか。

 

かくいう私も一番好きな歌手というわけでもありません。(小声)

 

 

でも、この方の歌は、そんな声を簡単に飲み込んでしまう懐の広さと強度があるように思うのです。

理屈じゃない。

穿った見方をせず、素直な態度で正面から彼の歌に向き合ったとき、多くの人は心揺さぶられるのではないでしょうか。